関東“ヤクザサミット”横浜で開幕「侵さず侵されず」の平和共存が10年、さらなる関係強化にトップが集結
「関東のヤクザ組織のトップが一堂に集まるのは、かなり珍しい。いわば関東の“ヤクザサミット”だ。それだけ、各組織が存続できるかどうかの危機意識を抱えているのかもしれない」 【画像あり】見送りに組員がずらり!「関東ヤクザサミット」に出席した面々 そう語るのは都内在住の暴力団関係者だ。 折しも住吉会本部事務所使用差し止め仮処分の決定が公示された7月18日、神奈川県横浜市にある稲川会の施設前には、警視庁や神奈川、埼玉、千葉の各県警から捜査員ら約30人が集まり、組員らの出入りを監視していた。緊迫した雰囲気のなか、次々に車で入ってきたのは、関東に本部を置くヤクザ組織のトップたちだった。ヤクザ界に詳しいジャーナリストは次のように話す。 「この日は、住吉会や稲川会、極東会、六代目山口組系國粹会、双愛会など、関東に拠点を置く8団体で構成する『関東親睦会』の集まりがありました。もともと『関東二十日会』と呼ばれていたヤクザ組織を横断する会が発展的に解消し、新たに2014年にできた親睦団体です。毎年、各団体が持ち回りで“ホスト役”を務めて会を開いてきましたが、今回は同会ができて10周年のため、各組織のトップが一堂に結集することになったのです。今回、ホスト役を務めたのは稲川会でした」 この日は11時半ごろから、各団体の組長や会長が続々と建物のなかに入っていった。そのたびに、出迎える稲川会組員らの声が響いた。前出のジャーナリストが続ける。 「関東に拠点を置く各組織は、お互いの縄張りもあり、ときに揉め事が起こることもあります。そのため『関東親睦会』を定期的に開くことで、余計な揉め事を起こさないようにしてきました。たとえ揉め事が起こっても、すぐに終わらせる、『侵さず侵されず』という関係であり続けるための会なのです。もちろん、各組織ともいろいろ事情は抱えているでしょうが、今後はより関係を強化していかないといけないと思っているでしょう」 前出の暴力団関係者は、危機感を隠さない。 「関西では六代目山口組の分裂抗争がまもなく10年めを迎え、いまだ抗争が続いている。抗争の火は関東にも飛び火してきている。また、九州では工藤會が活動を制限されているため、関東に進出している。これまで関東の組織は比較的平和共存できていたが、今後はそうはいかないかもしれない。『関東親睦会』がその役割をはたせるかどうか、試されるだろう」 およそ1時間の短い時間で会が終了し、それそれが帰路に着くと、周辺には安堵の空気が流れた。