急転開幕戦中止で2戦、3戦も開催暗雲…渋野日向子はいつ開幕を迎えられるのか? 東京五輪出場争いへの影響は?
開幕3戦目の「Tポイント×ENEOS」(3月20日から22日・鹿児島高牧CC」も微妙だ。無観客で開催したいという動きを見せているが、これも流動的で、今後、新型コロナウイルスが収束に向かわなければ、中止になる可能性も捨てきれない。 大会を運営するのは開幕3戦目までは同じ大手広告代理店だけに、1試合だけ無観客で実施する可能性は低いと指摘する声もある。 感染拡大が収束する気配があれば、4戦目の「アクサレディス」(3月27日から29日、宮崎・UMKCC)からは通常のトーナメントに戻るかもしれないが、3月19日からは、現在、中止か開催かが議論となっているセンバツ甲子園が開幕し、翌20日にはプロ野球がセ、パ同時に開幕予定。仮にセンバツ高校野球が中止となり、プロ野球もオープン戦に続いて無観客開催や延期が決定されていれば、各トーナメントを主催する企業が通常開催に踏み切るとは思えない。 これらの大会中止の影響を大きく受けるのが、東京五輪の代表争いだ。 東京五輪の出場選手を決めるのが「五輪ランキング」。国際ゴルフ連盟(IGF)のホームページ上で毎週発表され、最新のランキングでは、5位が畑岡奈紗(21)、11位が渋野、13位に鈴木愛(25、セールスフォース)が入っている。これらの男女のランキングは、世界ランキングをもとに算出され、女子は6月30日の時点で上位15位までの選手(各国最大4人)が出場権を得る。現時点では、畑岡、渋野、鈴木の3人が出場圏内にいるが、一人でも16位以下に落ちれば、日本の出場枠は上位2人に減ることになる。 その五輪ランキング算出のもととなる世界ランキングは、過去2年(直近の52試合)での平均獲得ポイントで決定されている。獲得ポイントは大会のレベルによって、それぞれ違い、PGAツアー、欧州ツアーが最高位にあるが、日本ツアーは、それに次ぐ格付けで優勝者は16ポイントが保証されており、ここでツアーが中止となりポイントがまったく加算されないことは、まだ15位以内の出場ボーダーラインにいる渋野、鈴木にとって大きな痛手となる。米ツアー参戦4年目の畑岡とのポイント差を詰めることも難しくなるのかもしれない。またここまで開幕がずれると試合勘を取り戻すことに苦労することも懸念される。
また獲得賞金が消えるのも大きな痛手だ。「ダイキンオーキッドレディス」は賞金総額1億2000万円の大きな大会で、第2戦の「明治安田生命レディスヨコハマタイヤ」が8000万円、第3戦の「Tポイント×ENEOS」も1億円の賞金総額がある。 ちなみに女子ツアーが中止となったのはこれまで2016年の熊本地震で1試合、2011年の東日本大震災で3試合、1995年の阪神淡路大震災で1試合の3例しかない。地震以外では初となる女子ツアーの中止。先が見えないウイルスとの戦いが長引けば、東京五輪の代表争いだけでなく、個人事業主のゴルファー達にとって死活問題にも発展しかねない非常事態を迎えている。