70代の父が「限度額適用認定証」を提示し忘れ、病院の窓口で本来より多く支払っていました…。あとから提示すればお金は返ってきますか?
病院で「限度額適用認定証」を提示し忘れてしまうと、一度に高額な医療費を窓口で負担することになるケースがあります。こうしたケースでは、後から認定証を提示することで自己負担限度額を超えて支払った分の払い戻しが可能かどうか、気になるところです。 本記事では、限度額適用認定証の概要と提示忘れにおける対応方法を解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
限度額適用認定証とは
健康保険に加入している場合、1ヶ月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担が高額になった際に、一定の金額を超えて支払った分は「高額療養費」として後日払い戻しを受けることができます。これを、「高額療養費制度」といいます。 「限度額適用認定証」とは、事前に医療費の自己負担が高額になることが分かっている場合などに、医療機関の窓口で保険証と一緒に提示することで、医療機関に支払う1ヶ月分の医療費が自己負担限度額までとなります。 ■認定証の申請とマイナンバーカードの利用 オンライン資格確認を導入している医療機関では、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録している場合、窓口で提示し「限度額情報の表示」に同意することで限度額適用が可能です。 オンライン資格確認を導入していない医療機関や、加入している健康保険でマイナンバーカードの登録がない場合などは、従来通り「限度額適用認定証」を事前に申請し、交付を受ける必要があります。なお、限度額適用認定証には有効期限があり、更新手続きも必要になることがあるため、注意が必要です。
70歳以上の方の自己負担限度額
厚生労働省によれば、70歳以上の方の毎月の自己負担限度額は年齢や所得によって異なり、平成30年8月診療分から表1のようになっています。 表1
出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」を基に筆者作成
限度額適用認定証を忘れて提示しなかった場合
限度額適用認定証を提示し忘れた場合でも、後から高額療養費の払い戻しを受けることができます。その場合は、以下の手続きを行ってください。 ■医療機関の窓口で請求された金額通りの医療費(自己負担割合分)を全額支払う 診療時に限度額適用認定証を提示していないため、一時的に通常の自己負担割合分を支払う必要があります。まずは、窓口で請求された医療費を全額支払いましょう。 ■「高額療養費支給申請書」を提出する 後日、加入している健康保険(協会けんぽや国民健康保険など)に「高額療養費支給申請書」の提出が必要です。申請により、自己負担限度額を超えた分が払い戻されます。 申請方法や必要書類については、加入している健康保険に確認してください。