いまや、DJはもうDJじゃない。デリック・メイと考える人工知能と「人の意思」
デリック・メイが愛するテクノロジーと創造性
──僕たちギズモード・ジャパンは、ガジェットやテクノロジーを扱っているメディアです。95年公開の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」から約30年が経ちますが、その間の特に印象的なテクノロジーはありますか? デリック・メイ:俺たちのレーベルは、もっとも最先端の曲を作っているアーティストを世に出すことをいちばんの目的としていた。だから、まだWebサイトが珍しかった頃に、グラフィックを駆使した「ホームページ(※当時のWebサイトの一般的な呼称)」を作ったんだよ。でも、当時はまだそこにオーディエンスはいなくて、せっかく美しいWebサイトを作ったのにほとんど見られなかった。まったく、お金が無駄になってしまったよ(笑)。 ──(笑)。音楽機材周りでのテクノロジーの進化についてはどうですか? デリック・メイ:DJはどんどんクリエイティブさが減っていると思う。ギターは今でもギター、ドラムは今でもドラムだけど、DJはもうDJじゃない。今のDJはボタンを押すだけで、後は機材がやってくれる。アートとしてはすっかり変わってしまったよ。スキーに例えるなら、トリックも何もせず、ただ直線的に山を降りるだけみたいな感じだ。でも、僕はまだDJをやりたい。決して「古いスタイルでやりたい」ってわけじゃなく、アートが持つ難しさや複雑さをみんなに感じてもらいたいんだ。 ──最近のテクノロジーと言えば、何よりも生成AIだと思うのですが、使ったことありますか? デリック・メイ:ChatGPTは怖いぐらい印象的だね。家で一人ぼっちになりやすいテクノロジーだと思う。 ──創作における生成AIの活用についてはどう考えていますか。 それについてはこの前、カール・クレイグ(デトロイト・テクノ第2世代を代表するDJ)と話すことがあった。僕らの世代は、やっぱり自分の手でアートを作ることが基本だから、生成AIはズルしている感じがあるって話になった。これからの世代のミュージシャンがそれを使うことに文句はないし、テクノロジーの変化はすごい楽しみだけど、僕らとしてはどうしてもチートだと感じてしまう部分があるんだ。 ──あなたは、現代社会のテクノロジーや進歩の方向性についてはあまり好ましく思っていない? デリック・メイ:いや、否定したり、ネガティブになったりすることはできない。きっと「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のメガテク・ボディ社みたいな企業が生まれて、すごいことになっていくだろうし、嫌がってもしょうがない。ただ「気にしていない」ってだけ。このまま好きなことをやり続けたいんだ。 ──あなたが使うテクノロジーと使わないテクノロジーの境目があるとしたら、どういう基準ですか? デリック・メイ:シンプルだけど良い質問だ。ちょっと考えさせて欲しい。 ……例えば、クオンタイズ(ビートのテンポをより正確にする機能)は役に立った。リズムをタイトにしてくれる。でも、完全に意図していなかったものがつくられるなら、それはアーティストじゃなくAIの判断だ。うん。どれだけアーティストのチョイスや気持ち、判断が入っているかが境目だと思う。作った人間が決めていないものばかりが入ってくると、それは違うと感じる。どれだけ自分の意思が込められるかどうか。そこにDNAが宿るんだ。 ──ダフトパンクのメンバーだったトーマが去年のインタビューで、彼らの解散理由について「今、現在の世界で一番なりたくないものはロボットだ」と言っていました。 デリック・メイ:ああ。俺は決して彼らのファンではないけど、その言葉には賛成するよ。 『攻殻機動隊~ビデオゲーム・サウンドトラック MEGATECH BODY. CD., LTD.』 発売日: 2024年9月18日(水) CDトラックリスト: Disc1 01. Ghost In The Shell/石野卓球 02. Firecracker/Mijk Van Dijk 03. Ishikawa Surfs The System/Brother from Another Planet 04. Spook & Spell (Fast Version)/Hardfloor 05. Featherhall /Westbam 06. The Vertical/Joey Beltram 07. Blinding Waves/Scan X 08. The Searcher Part II/The Advent 09. Spectre/BCJ 10. Can U Dig It/Dave Angel 11. To Be or Not To Be (Off The Cuff Mix)/Derrick May 12.To Be or Not To Be (J.Q. Public Mix) / Derrick May ※Bonus Tracks Disc2 01. Fuchi Koma/Mijk Van Dijk 02. Down Loader/The Advent 03. Thanato/BCJ 04. Moonriver/Westbam 05. Brain Dive/Mijk Van Dijk 06. Spook & Spell (Slow Version)/Hardfloor 07. Die Dunkelsequenz/Westbam 08. Section 9 Theme/Brother from Another Planet 09. So High/Dave Angel 10. To Be or Not To Be (The Mix of a Mix Mix)/Derrick May 11.The Searcher Part I/The Advent ※Bonus Tracks 12. To Be or Not To Be (Off The Cuff 2024 Redefined Mix)/Derrick May ※Previously Unreleased 購入: 『攻殻機動隊~ビデオゲーム・サウンドトラック MEGATECH BODY. DIGITAL. LTD.』 発売日: 2024年9月18日(水) 配信トラックリスト 01. Ghost In The Shell/石野卓球 02. Spook & Spell (Fast Version)/Hardfloor 03. Moonriver/Westbam 04. Can U Dig It/Dave Angel 05. Featherhall /Westbam 06. So High/Dave Angel 07. Spook & Spell (Slow Version)/Hardfloor 08. Die Dunkelsequenz/Westbam ※トラック1の石野卓球「 Ghost In The Shell」は単曲での購入はできません。 アルバム購入には含まれます。 サブスクリプション/ダウンロード:
照沼健太