「困惑」「歓迎」 福島県内、暖冬 週明け20日ごろまで「陽気」続く見通し
14日の県内は一足早く春が訪れたような陽気となった。季節外れの暖かさは週明け20日ごろまで続く見通し。今季の暖冬傾向は顕著で、農業や観光など、さまざまな分野で変化や影響が出ている。雪のないゴルフ場は冬季閉鎖せず営業。ハウス栽培の農家は「暖房代が節約できる」と歓迎する。一方、農作物の生育が早まり価格の動向にやきもきする農家も。普段の冬は除雪を担う建設業者は出番が少ない。スキー場関係者からはシーズン終了が早まるのを心配する声が上がる。 ■ハウス農家「燃料代節約」 ゴルフ場盛況 「燃料や資材の高騰に人件費の増加が重なる中、暖かい日が続くのは喜ばしい」。伊達市でイチゴを栽培する松葉園社長の大橋松太郎さん(39)は、ビニールハウス用の暖房機を手入れしながら笑顔を見せた。ハウスは内部の温度が一定より下回ると暖房機が自動で動き出す。例年の2月は日中にも作動していたが、今年は主に朝方の使用にとどまっている。昨年2月の燃料費は80万円だったが、今年は60万円ほどを見込む。
暖房に使う石油のほか、商品を包装する段ボールやビニールが値上がりし、売り上げ減を覚悟していた。大橋さんは「好天で苗の生育が早い。収穫量も前年より増えそうだ」と話す。 大玉村の大玉カントリークラブは例年、冬季は閉鎖していた。今年は積雪が少なく、土、日、祝日限定でオープンしている。臨時営業のため、キャディーはいない。完全セルフ形式だが1月は約400人が訪れた。支配人の皇甫(こうほ)功さんは「冬でもゴルフを楽しみたい愛好家に喜んでもらっている」と笑顔だ。 ■農作物の値崩れ心配 スキー場は雪不足 季節外れの陽気を歓迎する人がいる一方、悪影響を心配する声も上がる。 ホウレンソウやコマツナなどの葉物野菜は生育が良く、出荷時期が1~2週間ほど早まっている。農家は通常、時期をずらして栽培することで出荷量を調整するが、今年は同時期の出荷量が例年の約1・2倍に。ホウレンソウの価格は一袋(約200グラム)110~130円ほどで、前年同時期より2~3割ほど下がっている。福島市の農産物直売所ここら矢野目店の生鮮食品売り場では14日、お手頃な価格のホウレンソウは夕方前に完売した。消費者にとってはうれしいが、生産農家は頭を抱える。