ミニ・カントリーマン 詳細データテスト ミニらしく活発 SUVらしからぬタイトな挙動 車体は大柄
はじめに
今回のテスト車は、BMWグループが放つファミリーサイズの現代版ミニの3代目となる。クロスオーバーSUVであるカントリーマンの登場は2010年。これまで、ミニがどこまで大きくなっても受け入れられるか、その限界を探るようなところが感じられた。 【写真】写真で見るミニ・カントリーマンとライバル (16枚) ところがこの3代目では、ルックス的に新たな存在感や形式を示している。たしかに最新の最大ミニは、サイズを大幅に拡大している。しかし、ミニとBMWグループが送り出すクルマの外観に変化をもたらす役割も与えられたと言えそうだ。 初のドイツ製ミニ、というのもトピック。生産は、1シリーズや2シリーズとともに、BMWのライプツィヒ工場で行われる。それに伴って、パワートレインの再検討も図られた。3機種のICEに加え、カントリーマン初のEVモデルを設定し、ミニのゼロエミッションモデルのラインナップを拡充する。 新型カントリーマンは、2024年におけるミニ商品群見直しを牽引するモデルでもある。ワゴンタイプのクラブマンはフェードアウトしたが、主流となるハッチバックはICEモデルもEVモデルも更新され、さらに最小モデルと最大モデルのギャップを埋める電動クロスオーバーのエースマンが加わる。 BMWはこれまでの経験から、ミニの成功を続けていくために何をすべきか、また何をしないべきかを学んだのか。このクルマから見出していきたい。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
先代比で130mm長く、60mm背が高い3代目カントリーマンの全長は4444mm、全高は1661mm、ミラーを含む全幅は2069mm。いまや日産キャシュカイより大きいサイズは、BセグメントではなくCセグメントの域に達している。 もはやミニとは言えない大きさだと思うかもしれないが、デザインは納得できるのではないだろうか。これだけ大柄でも、カントリーマンはミニらしさを感じさせる。ウエストラインの高さやボディの長さはこれまでにないほどだが、その比率はほぼ適切で、少なくともスタイリング的にいえば見た目は自然だ。 先代より角張っていて、ファンシーさが影を潜めたように感じられるディテールと、スマートになったボディ表面を持つ新型カントリーマン。ルックスはなかなかハンサムだ。ボディ後半の長さは、やや不恰好に思えるかもしれないが。 プラットフォームは1シリーズや2シリーズ・グランクーペ、2シリーズ・アクティブツアラーに用いるもののアップデート版で、ICEとBEVの両方に対応。BMWでいえば、X1やX2が同様だ。 テストするカントリーマンCは、ラインナップのボトムエンドで、BMWグループが長年使い続けている1.5L直3ターボを48Vマイルドハイブリッド化して搭載。最高出力は170ps、最大トルクは28.6kg-mを発生する。トランスミッションは7速DCTのみの設定で、有償オプションでシフトパドルを装備できる。駆動方式はFFだ。 その上位には、2.0Lターボが2機種を設定。218psのカントリーマンSと、300psのカントリーマンJCWで、いずれもパートタイム4WD。BEVモデルは2機種で、204psで前輪駆動のカントリーマンEと、313psで2モーター式4WDのカントリーマンSE。どちらも実用容量が64kWhをわずかに切るバッテリーを積み、航続距離は最高で460kmに達するとされている。 先代やプラットフォームを共用するモデルと同じく、サスペンションは四輪独立。パワフルなモデルには、ローダウンスプリングと周波数選択式ダンパーが装備される。