値上げ止まらぬ「キットカット」…客離れとどう戦うか。ネスレ日本社長に聞く
キットカットのリニューアル「売り上げ2桁増」
── キットカットは2023年、商品リニューアルを行い「史上最高」と銘打ったキャンペーンを実施しました。また2024年秋には「リニューアル1周年」も打ち出しています、リニューアルで値上げをカバーできますか。 ネスレは188か国で展開するグローバル企業。ブランドのロゴは世界で統一しているものの、それぞれの国の文化的嗜好に合わせ、商品をローカライズしています。 ローカライズは現地法人が担当しており、スイス本社の許可を得てから、展開しています。「キットカット」は2023年に「日本発売50周年」の節目を迎えるということもあり、50周年に合わせたリニューアルを、3年ほど前から始動させていました。 ただチョコレートは本当に難しい商品。日本にはチョコレートの商品が、200~300ブランドあると言われていますが、その中でも、「キットカット」はブランドとしては1番の売り上げを誇っています。 すでに多くの商品があることで、それぞれの消費者が好きな商品が分かれています。50周年のリニューアルでは、チョコレートのカカオやミルクの配合の変更と、ウエハースの製造工程から、徹底的に試作を繰り返しました。 商品をリニューアルする際に、我々が採用しているのが「60/40(シックスティー フォーティー)」という基準です。 弊社の商品と競合の商品、もしくは従来品と新商品を、ブランドを提示しない形で実際に食べたり飲んだりして比較してもらい、6割以上の人が「よりおいしい」と答えた場合にのみ、その味を採用するという考え方です。 「キットカット」の場合、なかなか差がつかないという状況が続きましたが、数年の試作を経てやっと完成したのが、今の販売されている「キットカット」です。 2023年9月のリニューアル後は、前年比で「2️桁以上の売り上げ増」を記録しました。 しかし2024年3月には価格改定や内容量変更を実施したこともあり、チョコレートの需要が下がる夏場に向けて短期的に売り上げが減少しました。 弊社価格改定実施後、同業他社の多くも価格改定や内容量変更を行ったため、9月以降は好調を維持しています。 そして、チョコレートの市場が大きくなる冬に向け、今秋はリニューアル1年というキャンペーンも実施しています。
横山耕太郎