60代嘱託社員のもとに舞い込んだ「建設費用4億円」のマンション建設計画…保有する「200坪・毎月の上がり15万円」のショボショボ駐車場、大化けの可能性は?
高額な費用がかかる賃貸物件、建設して大丈夫!?
賃貸事業を行う場合、収支バランスが取れることが必須条件です。ほかにも、建物のコンセプトや仕様など諸々のポイントに対し、適切な判断が必要となりますが、一般の方が判断するのは容易ではありません。 では、メーカーに一任すればいいのかというと、そうとも言い切れません。建ててはみたものの収支が合わず、後悔している人は少なくありません。 賃貸物件の建設には多額の費用がかかります。そのためにも、ひとつの業者にだけ話を聞くのではなく、複数の業者から提案を受け、総合的に判断する必要があります。 2人は税理士から上記の説明を受け、まずは提案してきた業者以外にも、複数の業者から見積もりを出してもらうことにしました。 「ほかの業者にも話を聞き、よく考えたいと思います」 そういって2人は事務所を後にされました。
せっかく承継した土地も、保有するだけでは「マイナス財産」
土地持ちの方の多くは、先代から受け継いだ状態のまま保有することを望みますが、土地は保有しているだけでは固定資産税のかかる「マイナス財産」でしかありません。立地に合わせ、収支バランスの取れる活用をすることが不可欠です。 むしろ、土地の活用なくしては、次世代への財産の承継や節税は実現しません。今回の2人のケースでは、駐車場のままでも収益は上がらず、また、節税にもならないため、何らかの対処が必要なケースです。 絶対に譲れないのは、賃貸事業の収支バランスが取れること、そして、建設費が適正であることです。建設会社の合い見積もりを取り、比較検討しましょう。とはいえ、建物のコンセプトや仕様など諸々の重要事項についても、一般の方が判断するのは容易ではなく、また、業者の提案どおりに建てて後悔する事例もあります。今回、太郎さんと二郎さんが他者にアドバイスを求めたのは、適切な判断だといえます。 日本では土地活用のコンサルティングがいまだ定着していませんが、長期投資となる賃貸事業は、建設から運営のプロセスにおいて、さまざまな判断が必要です。最初に多額の費用がかかりますから、失敗はぜひとも回避したいものです。その意味では、不動産の売買に仲介業者が入るように、賃貸事業のコンサルタントも有益な存在だといえるでしょう。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子