「突然『ここで脱いだらシュールで良くない』って…」「見つかってたら捕まってた」 手塚理美と川上麻衣子、二人の女優が明かす篠山紀信さん秘話
ドイツの山の中で「走っちゃえ!」
『四色の花火』刊行の翌年、川上麻衣子(58)の写真集『暑い国 夢の国 生まれた国』が発売された。舞台は、バリ島、ドイツ、そして川上の出生地スウェーデンである。 川上は、手塚と同じ事務所に所属していた関係で、篠山さんを紹介される。当初は、スタジオで試し撮りしただけで、写真集出版の予定はなかったというが、 「たまたまドイツにいた篠山さんが、『じゃあここで撮ろう』と言うので、ドイツに行くことに。ただ、私はまだ17歳で、脱がないと決まっていました。ところが、ドイツに行くと、山の中を裸で走り回ることになっちゃって……」 と川上が苦笑する。 「撮影がベッドの上とか、下着姿だったりとか、色っぽい設定だったらやってなかったと思うんですけど、山の中で『走っちゃえ!』と言われて……」
公表しないはずの写真がなぜ?
川上は幼少期、日本とスウェーデンを行ったり来たりの生活を送っていた。 「スウェーデンではサウナに入って、そのまま湖にドボンなんてこともあったので、自然の中で裸になることに抵抗がなかったんですね。ただ、撮るにしても公表はしないということになっていました。でもそれが……」 出版されてしまったのである。令和の現代では“不適切”では済まされない大問題になっているかもしれない。しかし、公表しないはずがなぜ? 「日本に戻ってから、撮った写真を篠山さんのスタジオで観る会があって、すごく大きなスクリーンでクラシックをかけながら、事務所の社長と両親が観ていたんです。それで公表しないはずの写真も出てきて、版元さんは『これは出さなくてもいいですよ』って言ってくださったんですけど、うちの父が『出さなきゃもったいない』と。そのひと言で全てが変わってしまいました」
「あの時撮っといてもらえばよかったわ」
ちなみに、掲載に反対だったというお母上は、 「スウェーデンに詳しいということで、スウェーデンだけ母がついてきたんですけど、そこで篠山さんが母を撮りたがって。『親子二人でサウナに入っているのを撮りたい』って言うんで、母は逃げ回ってました」 いったいどんなふうに口説いていたのか。 「もうしつこいくらいに『撮ろうよ、撮ろうよ』と。『絶対に奇麗に撮るから』って口説くんです」 腕は確かだ。うそではない。 「母も今になって、『やっぱりあの時撮っといてもらえばよかったわ』って言っています」