ホス狂いの娘が「600万円を盗んで家出」 身も心もボロボロの母子はいかにして“生還”したのか
「娘さんが別れたいというんです」
「前に店に行ったときに連絡先は交換していました。ハルトからは頻繁に『娘さんが別れたいというんです』『ストーカー呼ばわりされ、別れるくらいなら死んだ方がマシです』といったメッセージが来ました。 さらには嘘か本当か身の上話も聞かされて『自分は秋田の出身で、赤ん坊のときに母親に捨てられて、父と祖母にネグレクトされて育った』と。私としてもだんだん気の毒になってしまって。彩菜に出ていかれ仕事もしていない状態でしたが、お金の無心は一切してこないところに、変に好感を抱いてしまったりして」 ちなみに「秋田出身」という情報は、前述したハルトのインタビューの記述とも一致する。そこでは実家は「農家」だと明かしている。 「彩菜と暮らしていた家は家賃が払えないのだが、犬と猫を飼っていて、なかなか次の家を見つけることもできないと言うんです。なので、彼が飼っていた2匹を我が家で預かり、その間に家を探すよう伝えました。犬はシルバーダップルのダックスフンド。これがまあ躾のなっていない犬で……。猫は日本猫とチンチラのミックスで『お客さんの女の子が飼っていた猫が産んだのをもらった』とハルトは説明していました」
警察を巻き込んだ急展開に…
ところが、ハルトはまったく家探しをしようとはしなかった。一方で彩菜さんへの付きまとい行為は続けており、とうとう接近禁止命令が下されるまでになった。佳代さんによると「ハルトは、彩菜の母親である私にも近づいてはいけないことになった」そうだ。そして2023年を迎え、事態は大きく動いた。 「いつまでたっても犬猫を返せないので、ハルトの家がある所轄の警察署へ、彩菜と一緒に相談に行ったんです。警察官に事情を説明して。そうしたら、彩菜のスマホでハルトとのやりとりをみていた方が『逮捕だ』と。殺害予告みたいなメッセージをハルトは娘に送っていたみたいなのです。ちょうど1月に博多でホステスさんが刺されて亡くなった『ストーカー殺人』が起き、似た事例として警察としても放っておけなかったようです」 佳代さんも予期していなかった警察の働きにより、ハルトは、3週間勾留され、罰金30万円が課せられた。釈放の折には佳代さんも犬猫と共に日比谷の検察庁まで出向いたが、彼の前には顔を出さず、弁護士を通じて2匹を返却したそうだ。 「ハルトとはもうそれきりで、秋田の実家に帰ったと噂で聞きました。わが家から大金を失うきっかけを作り、娘も傷つけた男ですが、心底憎いとは、今も思えないんですよね。ダメな奴だと思いながら、結果的に私も彩菜もなんとかしようと動いてしまったわけで、そういう意味ではホストの“才能”があると言えるのかもしれませんが」