《65歳からの働き方》薄井シンシアさん、悩んだ進路選択肢は3つ 「私のキャリアの築き方は東京メトロ」とは?
【2】米巨大IT企業に転職
2つ目の選択肢は、米巨大IT企業への転職です。定年退職のタイミングで、米巨大IT企業のリクルーターから二度目の誘いを受けたので、とりあえず話を聞いてみようと面接を受けたら最終面接まで進みました。この企業からは以前にも誘われましたが、当時は外資系ホテルの日本法人代表として、1つ目のホテルを開業したばかりだったので断りました。ホテルの代表として、専業主婦が再就職できる場を提供したいと思っていたからです。 世界的なブランド企業が、65歳の私に正社員として働かない? と声をかけてくれたのは嬉しかったです。いったん離職して専業主婦になったり、65歳というハンディがあっても有名企業で働けるんだ、ということを証明したい気持ちもありました。ただ、フルタイム勤務なので、働くとしても2年ぐらいかなと考えていました。
選択肢【3】フリーでママ支援サイトの運営やYouTuber
65歳からの17年間は、これまで恵まれてきた縁を使って、私が社会へ恩返しする時間にしたいと思っています。だから3つ目の選択肢は、フリーランスになって、主婦や中高年の就職支援をすることでした。 時間はあるけれど、体力に自信が無くて、パートをためらっている中高年って多いでしょう? 例えば私がYouTubeに挑戦して、自分自身に1日カメラを装着して、パートとして働き、具体的な仕事ぶりをYouTubeで流したら中高年の背中を押せると思いませんか? 向学心のある高齢者を集めて、短期留学のための勉強会も開きたい。結構、興味を持つ人はいると思います。 老後の資金は計算して貯金しているので、この先、お金儲けをしたいとは思いません。子育て世代を支える仕組みをつくるために、議員や民間校長になることにも興味があります。 ◆薄井シンシアさん 1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社。65歳からはGIVEのフェーズに。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。 撮影/小山志麻 構成/藤森かもめ