学校激変インタビュー「世界で一番環境がいい大学を選ぶ」植松久恵・広尾学園中学校高校教頭
■外国人教員も担任を受け持つ 日本の教員免許を持たない外国人が学校教育法上の小中高校で教えるには都道府県教育委員会に「特別非常勤講師」の届け出をするか、「特別免許」を取得する必要がある。当校ではクラス担任になってもらいたい外国人教員には特別免許の取得が可能になるようサポートしている(文部科学省の資料によると、特別免許とは「担当する教科の専門的な知識経験または技能」を持つなどの要件に合致し、都道府県教委の教育職員検定に合格した人に授与する教諭の免許状)。外国人教員は現在、25人おり原則として日本語を使わずに授業している。 英語で教える授業では、出版社の許可を得て当校で英訳した日本の教科書を使用している。つまり、当校は学習指導要領に基づく日本のカリキュラムを英語で教えている。保護者のほとんどは日本人だ。子どもの大学進学を考える際、海外と日本のいずれの大学も選択肢に入るようにしている。 インターナショナルを開設したのは2007年度。ほとんどの教科を英語で教えているのに生徒に一番合う大学を示せているのか、進路指導をしっかりできているのかと考え、13年度から海外大の情報をインターナショナルスクール並みに生徒に伝え始めた。進学実績の結果が出始めたのは17年度だ。 円安が進む今、海外大進学にかかる費用はかなりの金額になる。米国の場合、学費と寮費を合わせて年1000万円を超す。大学から奨学金をどのぐらい得られるかは合格が決まった後にならないと分からない。ただ学費が高い分、施設が整っている大学はあり、そのような情報を得た生徒たちは「円安だから挑戦しない」とはならない。 国内にも柳井正財団や笹川平和財団など海外留学者に年1000万円超の奨学金を出す財団がある。それらの奨学金を得られる生徒は限られており、基本的には大学からの奨学金を狙うことになる。複数の大学に合格した場合、生徒が大学に宛てて「別の大学からこれだけの奨学金を約束されている」とメールを出し、奨学金の給付や増額を交渉することもある。
自分が本当に何をしたいかをよく考え、学びたい専攻を選び、世界中の大学から一番環境がいい大学を選ぶ。海外大を受験する生徒は「自分で選択した」と実感すると思う。 (植松久恵、広尾学園中学校・高校教頭)