居たい理由は「再非行とか絶対しないから…」医療少年院で暮らす知的障害等ある少年達 社会に“生きづらさ”
■「再非行」の不安から医療少年院に「まだ居たい」と話す少年も
医療少年院では、1人1人の特性に合わせて定期的に教官が個別面談を行っているが、そのやりとりから見えてくる“課題”がある。 窃盗の罪を犯して医療少年院に入った、軽度の知的障害がある18歳の少年は、医療少年院を出られる日が近づいてきた。
教官: 「この前、調査支援の先生に『帰住できるよ』と教えてもらったよね。その時どんな気持ちだった?」 少年: 「まずは、ほっとしました」 教官: 「少年院にいなくていいんだ、期間終わったら出られる」 少年: 「そこまではいかないです。両方あります。まだ居たいというのもあるんですけど、早く出たいというのもあります」 教官: 「なんで居たいと思うの?」 少年: 「再非行とか絶対しないじゃないですか、少年院にいたら」
医療少年院を出た人が再び罪を犯す再非行の割合について、法務省は「公表できるデータがない」としているが、令和5年版犯罪白書によると、少年全体の再非行は31.7%だ。人とのコミュニケーションがうまくできない彼らにとって、その不安がつきまとっている。
Q再非行してしまう怖さはありますか 少年: 「あります。自分の気持ちがもやもやそわそわしている時とか、『失敗するなよ』と言われている時に失敗してしまったら、やっぱ自分“できない人間なんか”って。自分の気持ちが、どう対処したらいいかわからなくて」
■「認知機能」向上が“再非行の防止”に 訓練の成果は「絵」でも一目瞭然
医療少年院では、日頃からトレーニングが行われている。この日のトレーニングは、2人で棒状に丸めた新聞紙を両手で交互に渡すほか、仲間と輪になり言葉を交わしながら、うまく回していくものだ。 宮川医療少年院の水谷将人法務教官: 「円滑なコミュニケーション能力だったり、就労や就学に向けた力を身に着けさせるために実施しています。社会の中で見る力、聞く力、話す力というのが弱くて、犯罪に加担してしまったりする子も多いと思いますので」
医療少年院の少年たちは、「認知機能」=人の五感を通じて物事を処理する力が、不足していることが多いという。