大腸の精密検査の種類はご存じですか? 便潜血検査で「異常あり」のときの対処法も医師が解説
便潜血検査で異常が認められた場合、精密検査を受けることになりますが、一体、どの検査を受けたらいいのでしょうか。「大腸カメラ検査」「大腸CT検査」「大腸X線検査」の違いについて、「熊本みなとクリニック内科・内視鏡内科」の岩﨑先生にお聞きしました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
便潜血検査で「異常あり」、精密検査が必要?
編集部: 便潜血検査で異常が認められた場合、どうしたらいいのでしょうか? 岩﨑先生: 便潜血検査で異常が認められたということは、「便に血液が混ざっていた」ということです。便潜血検査では、目に見えない血液についても調べることができます。異常が見つかったら、必ず消化器内科や内視鏡内科などの専門医を受診しましょう。 編集部: 精密検査では、どのようなことをおこなうのですか? 岩﨑先生: 一般的には、大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)をおこないます。それにより、大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病などを見つけることができます。 編集部: 便潜血検査で陽性反応が出るのは、結構確率が高いのですか? 岩﨑先生: 報告によると、約6~7%の確率で要精密検査になるとされています。決して大きい数値ではありませんが、その中で実際に精密検査を受けた人は70%弱という報告もあります。精密検査は初期のがんを見つけるのに非常に重要な検査なので、要精密検査と指摘されたら必ず検査を受けるようにしましょう。
精密検査は何をするのか?
編集部: 精密検査では何をするのですか? 岩﨑先生: 一般的なのは、大腸カメラ検査で、肛門から内視鏡ファイバーを挿入し、大腸の様子を直接、観察する検査です。大腸を検査する方法はいくつかありますが、大腸がんを見つけられる確率が最も高いというエビデンスがあることから、大腸カメラ検査が精密検査の第一選択とされています。 編集部: ほかには、どのような検査があるのですか? 岩﨑先生: 大腸CT検査や大腸X線検査などもあります。 編集部: 大腸CT検査とはどのような検査ですか? 岩﨑先生: 大腸カメラ検査と同様、下剤を服用して大腸の中を綺麗にした後、肛門から炭酸ガスを注入してCTを撮影する検査です。大腸だけでなく全身の臓器を評価することができたり、大腸内視鏡検査では見にくいヒダの裏側も観察できたりするメリットがあります。 編集部: 大腸CT検査の方が大腸カメラ検査よりも苦痛が少なそうです。 岩﨑先生: たしかに、大腸カメラ検査よりも大腸CT検査の方が身体的な苦痛は少ないとされています。しかし、大腸カメラ検査であれば病変組織を採取し、一度の検査で確定診断をつけることができる一方、大腸CT検査は病変を見つけた場合、後日大腸カメラ検査を受けなければなりません。一度の検査で確定診断までつけられるという点で、大腸カメラ検査が推奨されているのです。 編集部: なるほど、だから大腸カメラ検査を選択するケースが多いのですね。 岩﨑先生: はい。それから、大腸カメラ検査と比べて大腸CT検査は、どうしても精度が低くなってしまいます。特に、大腸CT検査では平坦な病変や小さな病変を見つけることは難しいので、より早期のがんを見つけるなら大腸カメラ検査が向いているという結論になるのです。