国会が「ねじれて」いるとどうなるの?
今回の参議院選の焦点の一つに国会の「ねじれ」が解消されるのか? という点があります。「ねじれ国会」とはどういう状態のことを言うのでしょうか。衆議院でいま最も議員の多い政党は自民党です。一方、参議院は民主党ですね。このように衆議院と参議院で多数派が異なる状態を「ねじれ」と呼んでいます。この「ねじれ国会」は具体的にどんな影響があるのでしょうか? ねじれ国会で一番影響を受けるのは法案審議です。法律は原則として衆議院と参議院の両院で可決されて初めて成立します。しかし、ねじれ国会では両院で与党と野党の勢力が異なるため、法律が成立しにくくなるといわれています。そのほか、日銀の総裁人事など国会の同意が必要なものにも影響が出ます。 ただ、(1)首相の指名、(2)予算の議決、(3)条約の承認については、憲法で衆議院の議決が優先されることになっています。これを「衆議院の優越」と呼びます。また法案の場合は、参議院で否決されても衆議院において出席議員の3分の2以上で再可決すれば成立します。 それでも参議院は強すぎるとの指摘もあります。例えば国の予算ですが、関連する法律も成立していなければ予算を執行できません。衆議院の優越が認められているのは、「予算の議決」だけで一般の法案は含まれていないので、予算関連法案の成立が困難になるのです。法案一つ一つに対し、再可決を乱発することは、政治的には難しいとされています。 ねじれていない国会が必ずしもいいとも限りません。衆議院で可決した法案が、参議院でも「カーボンコピー」のように可決されては二院制の意味がありません。参議院は「良識の府」と呼ばれることがあるように、衆議院で可決された法案を「大所高所から審議する」という精神も期待されているといえるかもしれません。 戦後からこれまで、ねじれ国会は、現在も含めて5回ありました。現在のねじれ国会は、政権交代後の2010年参院選で民主が大敗して復活。2012年12月の総選挙で自民が政権を奪還しましたが、ねじれ状態は続いています。