天然もろこし・植山由美子が語る、授乳中の娘を抱えながら罹患した「乳がんステージ2」
手術して2日目には退院
抗がん剤を終え、迎えた乳房部分切除手術。 「私の場合は患部を切除するだけなので、手術して2日目には退院。2週間後に傷を見せに通院といった流れでした。あっけないもんです。気になってから半年間も放置していたけれど、それでも早期だったのが幸いでしたね」 寝たきり、長期入院かと身構えていたが、5泊6日の入院期間だった。そして現在、放射線治療中。 「めっちゃでかい機械が、グァ~ングァ~ンと動いて乳房を狙ってくるのはちょっとシュールかな。でも痛みもなく、私の場合は今のところ副作用もありません。乳がんの場合、心臓や肺に近いので、どこに照射するのかをマーキングするんです。今日も受けてきたけれど、上半身にラインが引いてあります。たくさんの十字の線が引いてある身体を見ると、だんだん笑いにできる気がしてきましたよ(笑)」 放射線治療は日をあけず、20日間程連続で行う。そしてホルモン療法。乳がんは、女性ホルモンをエサにがん細胞が増殖するものが多く、薬によって女性ホルモンの分泌を抑える。つまり薬で閉経状態にするのだ。 「再発が懸念される期間、5年とか、長いと10年くらいは飲み続けなければならないそうです。40代半ばで無理やり閉経状態にするわけで、不安もあります。先生に聞いたら、更年期と同じ症状が出るそう。まだまだ乳がんとは付き合っていかなければあかんなぁと。でも前向きに、ここまできてやっと先を考えることができるようになりました」
乳がんであることを普通に話せるようになるといい
治療に専念するために、1年近く仕事を休んでいる植山さん。実感するのは、「ありがたいことに、私には安心して治療に専念できる環境が整っていた」ことだという。 「がんが発覚したのは出産で休んで、復帰したばかり。さあこれから頑張ろうって気合が入っているときにまた休むことになったわけで。相方は“焦らなくていいから”と言ってくれました。事務所も芸人仲間も待ってるって。アルバイト先も“休んでいいよ。帰ってきた時の居場所は、空けておくから”と。皆がそう言ってくれた。ありがたいです」 厚生労働省の調査では、がんと診断を受けた人の約2割が退職や廃業しているという(「がん患者・経験者の治療と仕事の両立支援施策の現状について」2020年)。また、続けられたとしても、仕事内容が変わったり、中には降格や居場所をなくしたくないと、無理して働き続ける人もいる。 「がん患者は増える一方です。そして早期発見、早期治療を行えば、治って戻ってこられる病気だと身をもって実感しました。みんなが普通に、がんであることを話せるようになればいい。極端に言えば“風邪でちょっと休む”という感覚で休めるようになればいい。周囲もそれを普通に受け止められるように、また戻って来られる居場所を、安心して休める環境を周りが作る社会になればいい。心からそう思います」 がんは他人ごとではなく、自分ごとなのだと誰もが考えるべきだと語る。そして、太字で強調して書いてくださいとお願いされたのは、この言葉だ。 「今読んでいるあなた、この記事を読まれたら、すぐに乳がん検査の申し込みをしてほしい! 早期発見さえすればすぐに直る。それが大事なんだから」