「展開としては負けゲーム」中京大中京が“愛知の旋風”名古屋たちばなの勢いを止める逆転勝ち【24年夏・愛知大会】
<第106回全国高校野球選手権愛知大会:中京大中京 6―5 名古屋たちばな>◇24日◇準々決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム 【トーナメント表】愛知大会 準々決勝の結果一覧 名古屋たちばなは春季県大会の優勝校の享栄を下し、4回戦では公立の雄・大府も下し、5回戦では昨秋の優勝校でセンバツ出場を果たしている愛工大名電を下してベスト8進出を果たした。学校が共学になるに伴って、この4月に、愛産大工から校名変更した同校。その新校名を大いにアピールする大旋風となった。準々決勝では、今春の東海地区大会優勝校で、全国的名門・中京大中京に挑むことになった。 昨秋の県大会では細かい継投を駆使してタイブレークの末に中京大中京に勝利している。しかも、鈴木将吾監督は中京大中京出身でもあり、中京大中京の高橋源一郎監督は4年後輩にあたる。そんな因縁もある。それだけに中京大中京としても、意識していないと言えば嘘になるだろう。事実、日頃の交流も多く、お互いに切磋琢磨しあってきている間柄でもあり、ともに大藤敏行・現享栄監督の教え子でもある。そういう意味では、県内に多く存在する‟大藤ファミリー”同士の対決でもある。 初回に中京大中京はあっさりと先制するが、2回に名古屋たちばなが5番田中 脩夢選手(3年)からの3連打と暴投・失策もあって、3点が入る。中京大中京としては一番よくない形での失点だった。5回にお互いが1点ずつ取り合うが、6回にも名古屋たちばなは中前打で出た河合 俊亮選手(3年)が三塁まで進むと、捕手からのけん制悪送球で1点を追加。 それでも7回、中京大中京は2番岡部 純陽選手(2年)の中前打から、3連打で1点を返し、バント失敗で一死一二塁となったところで代打仲 健太郎選手(3年)が送り出されたが、追い込まれながらも右中間をライナーで破った三塁打で同点となる。その後のチャンスは、スクイズのミスで潰しかかったものの、二死二塁から、村上 颯選手(2年)が右前打して、二塁走者が還り、結果的にこれが決勝点となる。 それでも、9回に名古屋たちばなは反撃する。先頭の田ノ上 海空選手(3年)が左翼線二塁打して同点機となった。さらに、その後は四球などで満塁となりながらも、中京大中京は田中 太久哉投手(2年)から飯島 健太投手(3年)とつないで何とか凌ぎ切った。 高橋監督は、「展開としては負けゲームでした。それでも、3年生が意地を示してくれました。夏は勝つことが大事です。野球の恐ろしさを改めて教えられました。勝って反省することができました」と振り返っていた。そして、最後に苦しい場面を連続三振で抑えた飯島投手に関しては、「口数は多くありませんが、黙々と努力する男です。芯のある所を示してくれました」と、その踏ん張りを称えていた。 名古屋たちばなの鈴木監督は、「ノーシードから、よくここまで来られたとは思います。一番厳しいヤマと言われた中で、それを登り切ったのですが、愛知大会で勝ち上がっていくことは本当に厳しいです」と、残念がりながらも、ここまでのチームの戦いには、納得もしていた様子だった。