在日外国人の無年金状態解消求め市民団体が要望書 国の「問題放置」を厳しく批判
自治体での対応は進むが
国が動かない一方で、自治体は市民の要請を受けて独自の給付金を支給してきた。84年には大阪府高槻市が外国人福祉年金支給要綱を作成。2003年には、高齢者について765自治体、障害者について660自治体が給付金制度を実施。自治体レベルの全国的な協議会からは問題の解決を促す要望書が再三国に提出されている。だが同連絡会によると1998年以降、在日外国人の無年金状態についての社会保障制度審議会での議論は確認できないという。 1日の記者会見で同連絡会は、国が長らく無年金問題を放置してきた実情を説明。自身も受給相当の障害を抱えつつも障害者年金を受け取れぬまま生活をしてきた李代表は、要望書で求めた内容を、社会保障審議会の年金部会提言に加えてほしいと述べたうえで「要望書を見た委員の方々が、ひっかかりを持ってくれたらと思う。(これまで自治体側からも)改善の要望が何百回と繰り返されているのに、なぜ放置されているのか不思議だ」と強調。「障害者として切迫した状況でも在日外国人ということで怖くて明かせない方もいる」と語った。 在日コリアンの妻が障害を持ちながら無年金状態に置かれているという男性も「受給が(当たり前の)権利だということがわかって、積極的に活動することができた。行動を起こすと不利になるのではと恐れて踏み切れない人たちが今でもいるが、条約や法律の内容をしっかりとわかるように伝えて、安心させてあげたい」と訴えた。同連絡会では今後、要望書が審議会の委員に手渡されない場合には抗議するという。
吉永磨美・ジャーナリスト