<夢の舞台へ!’23センバツ光>チーム紹介/上 投手 大敗糧に雪辱の春 /山口
「憧れの舞台でチームを勝利に導く投球をしたい」 センバツに出場する光のエースで、主将も務める升田早人投手(2年)は決意を示した。最速141キロの右腕で、中国地区大会準優勝の原動力となった。田上昌徳・投手コーチも「試合を重ねるごとに強くなる。潜在能力はまだまだある」と期待を寄せる。 1年生時の大会では、同学年の松中怜或投手がエース格だった。制球力や、打者に向かっていく姿勢に課題があったという。「エースを奪いに行く」。升田投手は悔しさをバネに、走り込みや下半身に負荷をかけた筋トレなどを重ねた。下半身が安定し、制球力アップにつながった。田上コーチは「アドバイスののみ込みが早く、みるみるうちに成長する」と頰を緩める。 成果は中国地区大会に表れた。1回戦では、島根県1位の浜田を内野安打2本に抑え完封。準々決勝では初回に4失点したものの、「ストレートは打たれていないぞ」とバッテリーを組む福原将斗捕手(1年)に声を掛けた。「升田さんの言葉で強気に戻れた」と福原捕手。試合を立て直すと、打線が粘り強さをみせ、6―5で逆転勝ちした。「試合中、悲観的な雰囲気はなかった」と宮秋孝史監督は振り返る。光は勢いに乗り、準決勝で山口県1位の高川学園にも競り勝った。 決勝でも「疲れはない。投げたい」と連投。春夏甲子園の常連校・広陵(広島)を相手に四回まで1点に抑えたが、五回にソロ本塁打からの7連続長短打などの猛攻を受け、一挙に10失点。監督から交代を打診されたが、「逃げたくなかった」と続投を志願し九回まで投げ抜いた。升田投手は「焦りが出てしまった」と唇をかむ。田上コーチは「この悔しさが、成長の鍵になる」と力を込める。 冬場の厳しい練習を乗り越え、雪辱の春へ。升田投手は「隙(すき)のない投球で光に甲子園初勝利を」、松中投手も「練習の成果を出し切ってチームに貢献したい」と意気込みを語った。 ◇ ◇ 第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)への初出場を決めた光。「投手」「守備」「打撃」の3回に分け、チームを紹介する。【福原英信】 〔山口版〕