センバツ出場校決定 明豊、3年連続の実力 頂点目指し結束 監督「冬鍛え自覚と責任」 /大分
青空に選手たちの野球帽が舞った。3年連続5回目の春切符を手にした明豊。新型コロナウイルスのため、昨年は大会中止で涙をのんだ。それだけに、ナインは悲願の日本一を目指し、結束を誓った。大会は2月23日に組み合わせ抽選会があり、3月19日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。【辻本知大】 県勢で3年連続は、初めての偉業だ。ユニホーム姿でグラウンドで吉報を待っていた川崎絢平監督の携帯電話が鳴ると、マスクを付けた保護者が無言ながらも一斉に拍手して喜びをあらわにした。 すぐに選手たちを集めた川崎監督は「甲子園に行くからには言い訳はできない。もう一段、二段強いチームになろう」とチームを鼓舞した。 選手たちは、さっそくノックを受け、素振りをし、体幹トレーニングに励んだ。地区大会の準々決勝で本塁打を放った勝利の立役者、黒木日向選手(2年)は「試合の終盤でも粘るのがチームの持ち味。自分の特徴である土壇場での勝負強さを生かしたい」と意気込んだ。 チームの二枚看板、京本真投手(同)と太田虎次朗投手(同)。右腕の京本投手は「甲子園に出られる喜びを今、かみしめられている」と笑顔。左腕の太田投手は「ピンチに低めのコントロールで三振を取る。自分らしいピッチングを見せたい」と話した。 チームをまとめる幸修也主将(同)は、「これまで引退した3年生もグラウンドに顔を出し、練習に付き合ってくれた」と振り返り「先輩たちのためにも、一球に対するこだわりを忘れず、日本一を目指したい」と活躍を誓った。 チーム発足当時、川崎監督は「去年に比べると力がない」と厳しい評価を下していた。しかし、ナインは九州地区大会で勝ち上がり、冬にかけて過去にない激しい練習を積み重ねた。川崎監督は「冬に鍛えたことで日本一を目指す自覚と責任が芽生えた」と目を細めた。 ◇午後4時15分に「切符」届き拍手 校長が満面の笑み 「甲子園への切符」が明豊の校長室へ届いたのは午後4時15分ごろ。卓上の電話を取った岩武茂代校長は緊張した表情で「ありがとうございます」と繰り返した。待機していた同窓会長や一部の教職員らから一斉に拍手が起こった。 岩武校長は「ホッとしました。うれしいの一言。部員はコロナ禍の中、大変な思いで過ごしてきた。悔いが残らないよう、思い切りプレーしてくれればそれで良い」と満面の笑み。傍らの赤峰淳・野球部長は「3年生の目標だった『日本一』を引き継ぐため2年生以下、歯を食いしばってきた。コロナ禍を乗り越えた姿をお見せしたい」と話した。【大島透】 ◆学校紹介 ◇文武両道がモットー 1999年に別府大の付属中高一貫校として開学。国公立・難関私立大を目指す「特別進学クラス」と、文武両道をモットーに競技力強化と進学を目指す「体育専攻クラス」などがある普通科の他、看護科がある。生徒数は486人(1日現在)。 野球部以外の部活動も全国レベルの強豪だ。卓球部は男女ともに全国大会の常連。女子ソフトテニス部は2019年の国体で団体4位、男子剣道部は同年の全国選抜大会で準優勝した。 卒業生も各分野で活躍している。プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの今宮健太選手や、走り幅跳びで東京パラリンピック出場が内定している中西麻耶選手らを輩出。校歌は歌手の南こうせつさんが作曲した。【辻本知大】 ◆チーム紹介 ◇九州大会で無失策 昨秋の九州地区大会は投手陣が好投し、ベスト4に進出。堅実な守備で大会3試合を通じて無失策だった。 打撃では、地区大会の準々決勝で本塁打を放った左の黒木日向選手(2年)をはじめ、東孝太郎選手(同)、山本晃也選手(同)の3人が打点を稼いだ。 投手は右腕・京本真投手(同)、左腕・太田虎次朗投手(同)が二枚看板だ。京本投手は188センチの長身を生かし角度をつけた直球に力がある。多彩な変化球でも相手を翻弄(ほんろう)し、安定感に定評がある。太田投手は140キロを超える直球とスライダー、変化球が武器。昨年8月のセンバツ交流試合で甲子園の大舞台を経験した。【辻本知大】