“おひとりさま”が知っておきたい「相続」のこと。親の財産を血縁に残すには
政府の調査によると、2024年1~3月に自宅で亡くなったひとり暮らしの人は全国で2万1716人。しかも、そのうち65歳以上の高齢者が約1万7000人で8割近くを占めていました。40~50代になると親の死を経験する人も多く、それによって自分の老いや死が身近になってくる世代になっています。今回は、相続などの際にどのような対策をとればいいのか、相続実務士の曽根恵子さんが監修によるムック『子のいない人の相続準備』より一部を抜粋し、再編集してお送りします。
財産を調べるときは「マイナスの財産」を調べるのも忘れずに!
子どもがいない夫婦やおひとりさまにとっては、いわゆる孤独死のようなことは他人事ではないという不安を感じている人もいるかもしれません。そこで大切なのが、「自分が死んだら、自分の財産はどうなるのか?」を知って対策をとっておくこと。 曽根さんによると、自分の財産を調べるときに注意したいのは「不動産、預金や株などの金融資産。生命保険だけでなく、借入金などの“負の財産”も含めて、全財産をもれなく調べること」なのだそう。 負の財産とは借金のことで、借入金のほか、クレジットカードの未払金や未納の高熱水道費・税金、個人への借金などすべてが含まれます。 「『マイナスの財産』も相続の対象となりますので、しっかり把握しておくことが大切です。財産を整理する際には、それぞれの財産をリストアップしていくとスムーズに進められます。最近ではインターネットやガイド本で目録のフォーマットを手軽に入手できるので、自分の財産を記入して、きちんと内容を洗い出していきましょう」(曽根さん、以下同)
「財産の整理」は、とにかく早めにやることが大事!
全財産を洗い出したら、どのように整理ができるかを考えます。 「まず預貯金は、不要な口座は解約して1~2つ程度にまとめおくことが大切。そして通帳や印鑑の所在を明らかにしておきましょう。株や債券などの投資商品の場合、インターネット上で完結している場合はログインIDやパスワードがわかるようにしておき、換金・売却できるものはなるべくそのようにしておきたいところです」 不動産の売買契約書は売却時の税金の金額に大きく影響するので、必ず保存しておきましょう。また、不動産の共有などがあると相続トラブルにつながるので、生前に解消しておくことがおすすめです。 終活の一環として自分の財産を整理する人は増えています。曽根さんも早めの整理を推奨し、それをふまえて、次のように語っています。 「不動産は毎年、路線価が変わり、固定資産税評価も3年ごとに改訂されます。預金や株も増減があるため、毎年、確認するのが望ましいです。また、財産の整理は一度きりだけでなく、変動するものがある場合は見直すことも必要です」