ロシアの空爆に無防備のハリコフ、ウクライナの砲弾不足が一層深刻
ウクライナ北東部ハリコフ市民のカテリーナ・ヴェルニチュクさん(22)がうたた寝をしていると、ロシアの誘導爆弾がアパートの外で爆発した。 カテリーナ・ヴェルニチュクさん 「私は両手で頭を覆い、爆発の瞬間に備えた。爆風が体を伝って、何もかもが崩れ落ちていくのを感じた。頭の上で熱を感じた。衝撃波と高温、ただそれだけだ。 その後、ショックとパニックがやってきた。起き上がると煙が上がっていて、目の前がすべて牛乳のように明るくて白かった。ガラスやコンクリートが飛び散り、息をするのも大変だった」 ヴェルニチュクさんは無傷だったが、ボーイフレンドが負傷した。また勤務中の郵便配達員が死亡した。 ウクライナに対するロシアの空爆作戦が激化するなか、ハリコフほど大きな被害を受けた都市はない。ロシア国境からわずか30キロ弱に位置するハリコフには、ミサイルが1分以内に到達する。 西側の軍事支援はここ数カ月で枯渇した。極めて重要な米国の軍事支援は、共和党の抵抗によって米議会の審議が滞っており、ハリコフは危険なまでに無防備な状態に置かれている。 ハリコフ州 シネグボウ知事 「防空システムが壊滅的に不足している。ウクライナ全土でだが、特にハリコフ州で不足している」 ウクライナのゼレンスキー大統領は、防空システム向けの物資提供を訴え続けている。今週、ハリコフのほぼ4分の1が破壊されたと述べた。ロシア軍が進軍のための道を作るために、ハリコフをがれきにしていると同大統領は非難している。 またここ数週間、ロシアが電力網への空爆を強化しているため、ハリコフは1日12時間にも及ぶ計画停電に見舞われている。専門家は、住民を恐怖に陥れるための戦術の可能性があると語った。 軍事アナリスト オレクサンドル・コヴァレンコ氏 「今のところ、ロシアはこの都市を占領する戦力も装備も持っていない。だが中期的には市民を恐怖に陥れ、それに対応する条件を整えることは可能だ」 ロシアは民間人を標的とした攻撃を否定。エネルギー網は合法的な軍事目標だとして攻撃を正当化している。記事作成にあたりロシア国防省にコメントを求めたが、直ちに回答は得られなかった。 冒頭のヴェルニチュクさんら、ロイターの取材に応じた。ハリコフ市民15人は皆、攻撃にもかかわらず地元にとどまる決意だ。当局も、市民がハリコフから脱出する様子はないと話している。