鹿児島実の最速151キロ右腕、昨夏甲子園4強の神村学園の3季連続を阻めるか マエケン式トレーニングで球速アップ【高校野球鹿児島大会】
第106回全国高校野球選手権鹿児島大会が6日、鹿児島市の平和リース球場などで開幕する。春の鹿児島大会を制した鹿児島実のエース井上剣也(3年)はプロが注目する最速151キロの右腕。九州屈指の速球派が、神村学園の3季連続甲子園出場にストップをかける。 ■好きな投手は…井上のプロフィール/2 夏の大会に備え、井上は練習場のブルペンで一球一球フォームを確かめながら投球練習を行っていた。「夏は制球力をつけてテンポよくリズムをつくれるようになりたい」と制球力向上に力を入れてきた。 150キロの大台を突破したのは春の鹿児島大会決勝だった。鹿屋農を1―0で完封し12奪三振の快投を見せた。「ブルペンで投げて調子が良かったんです。体の切れが上がっていたと感じていました」。続く春の九州大会でも150キロを計測した。 入学時の球速は130キロ台前半だったが、半年後には140キロを突破。「入学したときに150キロに到達したいと思った」。ダンベルを指でつかみ、上げ下げするトレーニングを毎日100回を3セットこなしてきた。ダンベルの重さは1年時の3キロから、現在は5キロに増えた。 高校の入寮前に動画で知った前田健太(タイガース)のトレーニングも、1年のときからほぼ毎日欠かさずやってきた。「トレーニングのおかげで球に回転がかかるようになった」。地道な努力の積み重ねで目標を達成した。 課題は制球力。連投の可能性がある夏は球数を抑えるため、無意味なボールを減らす必要がある。「カーブで緩急を使いながら投げたい」と理想を挙げる。 高校最後の夏は「打倒神村学園」の強い思いで臨む。昨夏は鹿児島大会準決勝で対戦し、4―11で7回コールド負け。先発した井上は自らのバント処理のミスで失点するなど、3回⅓を4失点で降板した。「自分が3年生の夏を終わらせてしまった」。直後の甲子園で4強入りした神村学園の快進撃を見ながら「来年は絶対に倒してみせる」と心に誓った。 今夏は互いに順調に勝ち進めば、決勝で甲子園出場を懸けて対戦する。井上だけではなく、九州大会で投げた制球力抜群の長田鉄生(3年)、外野手兼任の左腕西悠太朗(同)、185センチの長身右腕菊池匠太郎(同)ら力のある投手が複数そろい、宮下正一監督は「井上を軸に周りの投手がどこまでフォローできるか」と井上を中心とした投手陣に期待する。 プロのスカウトも注目する九州屈指の本格派右腕は「まずは高校野球を全力でやりきりたい」と今夏に全力投球。ライバルをねじ伏せて、夢の甲子園切符を手に入れる。(前田泰子)
西日本新聞社