TOPPAN石川工場、25年度内に稼働 画面向けフィルム生産 次世代半導体の量産に先立ち
●テレビ大型化で需要増 TOPPANホールディングス(旧凸版印刷、東京)は次世代半導体の生産を計画する石川工場(能美市)を2025年度内に稼働させる方針を固めた。28年度に予定する半導体の量産開始に先立ち、テレビなどに使われる反射防止フィルムをクリーンルームの設備を生かして製造する。同フィルムはテレビの画面サイズの大型化に伴って市場規模が拡大しており、旺盛な需要の獲得につなげる。 【写真】2025年度から反射防止フィルムを製造するTOPPANの石川工場 3日、植木哲朗専務執行役員エレクトロニクス事業本部長が石川県庁に馳浩知事を訪ね、明らかにした。 反射防止フィルムはテレビやパソコン、スマホのディスプレーに使われ、光の反射や映り込みなどを防ぐ。テレビ画面の大型化などに伴い、同社は23年から6年間で市場規模が約2割拡大すると見込んでいる。 石川工場でフィルムを生産するのはA、B、Cの3棟のうち、C棟の一部。JOLED(ジェイオーレッド)能美事業所時代から引き継いだ防じん設備「クリーンルーム」を活用する。26年3月期第4四半期(1~3月)から稼働する予定。 ●投資総額95億円 フィルム生産設備の投資総額は約95億円で、従業員は70人を予定する。来年度内の稼働に向けてオペレーターとなる高卒8人を既に採用した。 グループ会社のトッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルムが製造を担当する。同社のフィルム製造拠点は滋賀、静岡に次ぐ3カ所目となる。 TOPPANは23年11月、JOLEDと能美事業所の取得に関する契約を締結。今年7月にJOLEDから引き渡され、設備の搬入を進めている。生成AI(人工知能)の発達により需要が伸びている次世代半導体の生産拠点と位置づけ、28年度からの量産を目指す。 植木氏は石川工場で生産を予定する次世代半導体の部材も紹介した。馳知事は「人材や水の確保など、全力を挙げて支援していきたい」と話した。