これがネパールの移動、ヒマラヤ登山の幕開け 【日本山岳会ヒマラヤキャンプ登山隊2023撮影記】♯04
キャラバン開始
3日間の車移動を終えて翌日10月9日にセカトムを出発するはずだった。しかし、朝になるとサキさんの体調は悪化。39℃を超える熱と咳で辛そうである。まだ遠征も始まったばかりなので、まずは体調の回復を優先し、この日をレストとした。サキさんの体調を考えてではあったが、ハードな車移動の疲れを取るのに良い1日になった。みんなで話し合った末、翌日をキャラバン開始日とした。 次の朝を迎えると、サキさんの体調はやや回復したように見えたが相変わらずの熱だった。ただ、サキさんの気持ちとしては歩いたほうが楽になるということで出発を決めた。 無理のないペースでタンギャムという標高2、400mほどの村を目指す。登山道はよく歩かれていて歩きやすい。少しずつ標高が上がるのでキツさも感じない気持ちの良い道だ。 ヒマラヤの山を奥へ奥へと自分の足で進んでいく。新しい景色が広がるたびにワクワクした気持ちになった。 タンギャムに着くと、サキさんはなんだか顔色も良くなり元気そうである。本当に歩きながら回復してしまったのだ。さすがだなと感心する。 そんなことを思っていると今度は金子さんが38℃を超える熱を出し、喉の痛みを訴え始めた。ヒマラヤ遠征開始早々、体調不良が続出してしまった。ただ、いま思うと日本からの移動、現地準備、そしてまた移動、慣れない環境のなかで疲労が溜まっていたのは間違いない。ヒマラヤ遠征は基本的に長期になるので体調を崩さないほうが珍しい。体調不良との上手い付き合い方ができるといいのかもしれない。 タンギャムで体を休め、なんとかふたりの回復を願う。翌日はグンサという村にいく予定だ。標高は3、000mを超える。このまま無事に進んでいくことができるだろうか。 次回はキャラバン後半戦、そしてついに現れた、目指す山であるシャルプーⅥ峰との出逢いをお届けします。
PEAKS編集部