フランスでブーム「パリおにぎり」日本に逆上陸し人気に
チーズ、オリーブ、トマト、サーモン…意外な具材
トマトなど日本人にとっては意外な洋風具材も使う「パリおにぎり」が、フランスでも日本でも人気を集めている。小麦粉を避けるグルテンフリー、完全菜食主義のビーガンなどの観点からも好まれているという。ブームは日本に逆輸入され、おにぎり人気に新たな波を生み出しそうだ。 【写真】「今年の一皿」はご馳走おにぎり…豊富な具材と見栄えが話題に パリ中心部にある専門店「おむすび権米衛」パリ・パレロワイヤル店の一番人気はスパイシーチキンのおにぎりだ。ドライトマトとオリーブを玄米に混ぜたものも売れている。パリコレクション取材の合間に記者が訪れた9月26日昼過ぎ、店頭は長蛇の列だった。市内のスポーツ用品店で働くシリル・クレールさん（30）はコンブとツナマヨのおにぎりを買い、「健康的で、味もしっかりしていておいしい」と笑顔になった。
同店運営会社の仏法人代表、佐藤大輔さん（51）は「一つ平均3ユーロ（約470円）で、ラーメンが15ユーロくらいするのに比べたら手軽な日本食として受け入れられている」と話す。サケやウメなど日本で定番の具もあり、佐藤さんは今夏のパリ五輪でフェンシング男子エペ団体の決勝当日に日本代表へ差し入れた。チームは見事、銀メダルを獲得。のちに「おにぎりが力になった」と感謝を伝えてくれた選手もいたという。 市内にはフランス人が開業したおにぎり専門店もあり、スーパーの店頭にはおにぎりが何種類も並ぶ。「パリおにぎり」の浸透を実感した。（読売新聞生活部 福島憲佑）
食トレンド予測で「パリおにぎり」選出
日本ではおにぎり人気が続く。ぐるなび総研（東京）によると、東京都内と大阪、名古屋、福岡各市内で2023年1～10月に開業した専門店の数は22年1～12月と比べて1．5倍に増えたという。 現在の流行は、ほろっとやわらかな口当たり。ブームを引っ張る1店は東京都豊島区の専門店「ぼんご」で、外国人観光客らで連日およそ3時間待ちの行列ができるほど。一つ約150グラムと食べ応えのある大きさだ。「口の中でほどけるように空気を含ませるのがおいしさの秘密。うまみを引き出します」と社長の右近由美子さん（72）は語る。 ここにフランスから新しい波が届いた。レシピ検索サイト大手クックパッドは昨年発表した24年の食トレンド予測で「パリおにぎり」を選出。広報担当者によると「サーモンとクリームチーズなど具材が洋風。混ぜ込んであって見た目が華やか。ノリで巻くとは限らない」が特徴だ。 レシピ投稿も増えており、「五輪を機にパリの流行が注目される今、自分で作ってみようと思う人も増えるのでは」とみる。（読売新聞生活部 梶彩夏）
