事件直後に園のバス近くでは献花がされていた

「自らの責任に真摯に向き合っていく」 弁護士を通じて、こうコメントを発表していた被告が控訴しないことが判明した。 【変わりはてた姿で】炎天下の閉め切ったバスに５時間放置…３歳女児「熱射病死」戦慄の現場写真 ’22年９月に静岡県牧之原市の認定こども園『川崎幼稚園』に通っていた当時３歳の女児Ａさんが、送迎バス内に置き去りにされ死亡した事件。業務上過失致死の罪で禁錮１年４ヵ月の実刑判決を受けた元園長・増田立義被告（74）が、控訴しない意向だと７月７日にわかった。共同通信などの各メディアが報じている。これで刑が確定することになる。 『ＦＲＩＤＡＹデジタル』は’22年９月９日配信の記事で、幼い女の子が犠牲となった不注意きわまる事件について詳しく報じている。再録して、事件直後の増田被告の信じがたい言動を振り返りたい（内容は一部修正しています）ーー。 ◆保護者がパニックに 「バスで幼稚園に行くのを楽しみにしていた。どうして、こんなことになってしまったのか……」 ’22年９月７日に開かれた保護者説明会で、亡くなった女児の父親はこう語り怒りをにじませたという。参加したのは110人ほど。会場ではパニックになった保護者が泣き崩れ、過呼吸などで13人が病院に搬送された――。 事件が起きたのは９月５日だ。『川崎幼稚園』の送迎バスにＡさんが置き去りにされ死亡。バスは朝９時前に園に到着したが職員が確認を怠り、Ａさんは気温30℃以上の炎天下で５時間にわたり車内に放置された。 「当日は、バスの運転手が休みをとっていました。臨時の運転手３人にも連絡しましたが断られ、当時の園長・増田被告が代行しました。バスには70代の女性派遣社員が乗っていましたが、Ａさんの下車をチェックせずに園のアプリに『登園』と入力してしまったそうです。担任はＡさんの姿がないことを認識していましたが、欠席したと思い込んでいたとか」（全国紙社会部記者） 前述した保護者説明会後、園では記者会見が開かれた。冒頭で増田被告は「亡くなった園児、ご遺族に心からお詫び申し上げます」と、頭を下げ謝罪。園長を辞任する考えを示した。しかし２時間40分にもおよんだ会見中、増田被告はどこか他人事のような対応。「ハッキリ話してください」という記者からの要望に、こう応えている。 「睡眠と水分不足で、年齢的にも声が出にくくなりまして……。ノドがカラカラです。私も人間なので」 「（Ａさんへ）本当に苦しい思いをさせてしまいました。あの暑い中、かわいそうだった」 ◆「次の用事で焦っていた」 猛暑の車内に取り残されたＡさんや遺族への謝罪会見にもかかわらず「（自身の）ノドがカラカラ」と驚愕の発言。Ａさんの印象を問われ「（一人ひとりの）名前までわからない」とし、「Ｂちゃん」と名前を言い間違える場面もあった。 「事件当日の気温は30.5℃で、湿度は70％もありました。車内の温度は、おそらく50℃以上あったでしょう。発見された時のＡさんは本当に悲しい姿だったとか……。近くにあった水筒は、水分が１滴もなく空。異常な暑さに耐えられなかったのか、服を脱ぎ上半身裸の状態だったそうです」（前出・記者） 事件の原因を問われた増田被告は、こう弁明している。 「（運転に）不慣れだった。（Ａさんのいる）後ろを見ずに、運転記録の作業をしてしまった。年齢的に次のことをしたら忘れてしまう」 「（病院に行くという）用事があり焦っていた」 過去にも送迎トラブルが「１年に数回あった」とも明かした増田被告。ズサンなチェック体制と、トップの責任感の希薄さが招いた悲劇だったようだ。