進化を続ける真・4回転時代の平昌五輪を勝つ条件とは?
また初の4回転ループに成功した宇野に関しても、中庭氏は「完璧なループジャンプだった。他の選手と違って、ループジャンプに入る前に片足でターンして臨むなど、随所に細かい工夫があり、ジャンプに入る前の予備動作の長さや、音楽とのずれなどの課題を埋める努力をしてきた」と、高く評価していた。 ハイスピードで進化している真・4回転時代。 平昌五輪で金メダルを獲得するための条件を中庭氏は、こう考えている。 「ここまで高いレベルの4回転時代に急激に進むとは誰もが想像できなかっただろう。もうショートで2本、フリーで5本の合計7本の4回転ジャンプを入れなければ五輪では勝てない技術点の勝負になっていると思う。フリーでは、4本でも可能かもしれないが、4種類の4回転ジャンプが必要になってくる。羽生選手、チェン選手、宇野選手は、いずれもスピンなどジャンプ以外のスケーティング技術では、レベル4を獲得していて、演技、構成点の部分でも大きな差がなくなっているため、もうそこでカバーすることはできず、なおさら4回転の技術点の確保が勝敗を分ける。 もっと言えば、ショート、フリーで、4種類7本の4回転を成功させた上で、どれだけ加点(GOE)をもらえるか、スケーティング技術、演技力を高めることができるのか、という恐ろしいほど高度なレベルでの戦いになると思う。そう考えると複数の4回転が跳べる羽生選手、チェン選手、宇野選手、ハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)の4人の戦いに絞られてくるのかもしれない」 4種類の4回転ジャンプとなると、それをクリアできているのは、フリップ、ルッツ、サルコウ、トーの4種類を跳べるチェン一人だけ。羽生は、今季から習得したループに、サルコウとトー。宇野はこの四大陸選手権でループを成功させたため、フリップ、ループ、トーの3種類。 中庭氏は、「来季に向けて羽生選手は、4回転ルッツにチャレンジするのではないか。ルッツジャンプは、反動を使うことのできない難しいジャンプだが、彼の技術、能力をすれば可能だと思う」と予測している。 羽生自身も、試合後に「予定通りじゃなかったが、(4回転をフリーで)4本決められたことは収穫です。(フリーで)5本入れる構成もできるんじゃないかという手応えはああります」と語っていたが、来年の韓国・平昌五輪での過酷な“真・4回転時代”を制するのは、誰になるのだろうか。