人気急上昇の「BeReal.」、授業中や更衣室での撮影も
2023年秋ごろから、リアルを共有するSNS「BeReal.(ビーリアル)」が若者に注目されています。BeRealとは、通知が来てから2分以内にアプリで撮影した写真を投稿するSNSです。通知は1日1回で、送られてくる時間はランダムです。実は2分を過ぎても投稿できるのですが、投稿するまで友人の投稿は見られないことや、時間を守ると投稿できる写真の枚数が増えるため、早めに投稿する人が多いのです。また、写真はアプリのカメラで撮影したものしか投稿できないため、加工アプリで「盛る」こともできません。 公立学校情報化ランキング――小学校の上位自治体 こうした制限によって、「通知が来た瞬間に加工なしでどれだけ良い写真を撮るか」というゲーム性が生まれ、若者を夢中にさせています。 LINEリサーチが15~24歳の男女を対象に四半期ごとに行っている流行調査※では、2023年12月に1位、2024年3月は2位という人気ぶりです。特に学生層である、15~18歳、19~22歳に支持されています。 ※リサーチノート(LINEリサーチ)「最新Z世代トレンド!『猫ミーム』が男女すべての年代で1位」
授業中や更衣室での撮影も
BeRealの最大の特徴は、いつ来るのか分からない通知です。通知は一斉に送られてくるため、通知が来ると「BeReal来た!」と一気に盛り上がります。BeRealはインカメラとアウトカメラの同時撮影なので、基本的には自分と背景が写ります。自分と周囲にいる友人、または天井と寝ている自分など、時間と環境によってさまざまな投稿になります。 人気の一方で、問題も起きています。高校生や大学生は、授業中にBeRealの通知が来ることもあります。もちろん撮るべきではないのですが、自分と教室の様子を写したり、かばんの中に入れて真っ暗な写真を撮影したりする人も多くいます。特に「BeRealガチ勢」と呼ばれるBeRealにハマっている人たちは、ほかの人が撮らない場所での投稿にいそしんでしまいます。しかし、TPOをわきまえない使い方には、異を唱える若者も多くいます。 「X(旧Twitter)」を見ると、「授業中にシャッター音が鳴り響いて腹が立つ」「模試中にBeReal撮ってた人が先生に叱られていた」などの声が上がっています。また、学校の更衣室、図書館、コンサート会場、満員電車など、他人の迷惑になる場所での撮影も批判されています。中には、新入社員が仕事中にBeRealを撮ってもよいかと尋ねてきて困ったという投稿もありました。 BeRealは通知が来ると一斉に写真を撮りだすため、シャッター音がうるさくなります。場所によってはマナー違反です。また、周囲の風景や人物が写り込むこともありますが、BeRealではモザイク処理などの加工ができません。公開範囲は基本的にBeRealのフォロー関係だけとはいえ、ほかのSNSへの投稿もできるため、個人情報やバイト先の企業情報が拡散してしまう恐れがあります。 新機能を次々とリリースし、芸能人や企業の公式アカウントも開始するなど、盛り上がりを見せているBeReal。しかし、以上のような問題点もあります。BeRealを使う際は、撮影マナーを守ること、情報流出に注意することを約束するとよいでしょう。また、位置情報を付ける機能は、安全のためオフにしておきましょう。 出典:日経パソコン、2024年6月24日号より 鈴木 朋子=ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー 日立ソリューションズにてシステムエンジニア業務に従事、のちフリーライターに。SNS、スマホ、パソコン、Webサービスなど、入門書の著作は20冊を越える。ITの知見と2人の娘の子育て経験を生かして、子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」として活動中。近著は「親が知らない子どものスマホ」(日経BP)、「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)