多摩川と住之江で開催、GⅠ戦の見どころ クラス分けにも使われる「勝率」や「事故率」新期切り替えの時期はメンタル勝負
【植木通彦 ちょっといい話】 レースの出走表に「勝率」という数字が載っていますが、どんなものかご存じですか。ボートレーサーの戦績を数字で表すもので5月と11月に新期切り替えとなり、今がちょうどその時期です。 レースごとの着順に応じて着順点が設定され、1着10点から6着1点までをベースに優勝戦やSGなどグレードレースを走ると加点されます。半年間の着順点合計を出走回数で割った数字が勝率です。勝率によってA1からB2にクラス分けされ、クラスによって賞金の高いグレードレースを走れるなどプロの厳しさを意識させる数字です。 さらにレーサーはフライングなどの事故率も頭に入れてレースをします。事故率も新期でリセットされるのでこの時期はメンタル勝負となります。頭の中にはクラス分けや事故率が常にある状態です。私は約20年間の現役の期始めには「今期は1着取れるかな」と不安に襲われました。 そんな微妙な10月31日から11月5日まで東京・ボートレース多摩川でGⅠウェイキーカップ開設70周年記念が開催されます。多摩川は「日本一の静水面」と呼ばれトップ航走だと走りやすく気持ちいいけど2位航走以下は淡水場特有の水質が硬く引き波が残りやすいのでプロペラなどの調整力がないと厳しいのです。 1コースが強い印象の多摩川ですが、3コースや4コースがまくる展開で1コースが抵抗するターンとなった場合の差すレーサーに魅力を感じます。開催初日のみ期末で2日目から新期なのでメンタル面も想像しながらご観戦ください。 新期の1日から6日まで大阪・ボートレース住之江で第52回高松宮記念特別競走が開催されます。年末には最高峰のSGグランプリ開催を控え、その意味で今回は要チェックです。 水面特徴は多摩川同様に淡水で硬いイメージです。硬いというのはプールや海で飛び込みをしたときに体が受ける衝撃のことです。レーサーは淡水場では膝に受ける衝撃を大きく感じます。昔は膝に水がたまるレーサーが相当いたほどです。 淡水場は海水場のようなプロペラにまとわりつくような抵抗感がないのでモーター回転数が上がりやすいためにキャビテーションを起こすことがあります。プロペラの角度調整ができないとターンは大きく流れます。また、住之江の引き波は多摩川以上に残りやすいので逆転も多く起こります。2マークの攻防にご注目ください。