預金1億円・年金暮らしの75歳女性、タワマン売却→高級老人ホーム入居に大満足のはずが…わずか9ヵ月で退去したワケ【FPが解説】
年を重ね、身体の自由が段々と制限されてくると、“終の棲家”として「老人ホームへの入居」を選択するケースが増えていきます。しかし、老人ホームは入居したら安心というわけではなく、退去を選択するケースも珍しくありません。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、具体的な事例をもとに、高齢者施設を選ぶ際の注意点について解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
「老人ホーム」を終の棲家にする人が増えている
“終の棲家”として、いわゆる「老人ホーム」を選ぶ高齢者が増えています。 厚生労働省がまとめたデータ※をみると、2000年に老人ホームで亡くなった方の数は1万7,807人でしたが、2022年には17万2,727人と約20年間で約10倍に増加していることがわかります。 ※ 厚生労働省「第1編 人口・世帯 第2章 人口動態」より また、高齢者の増加によって老人ホームの定員数も増えており、介護老人福祉施設(特養)の定員数は2010年時点で40万3,313人でしたが、2022年には59万2,754人と約1.5倍増加。 有料老人ホームは2010年の19万5,972人から2022年の66万1,490人と、3倍以上に増加しています※。 ※ 厚生労働省「令和6年版高齢社会白書」 ところで、ひと口に「老人ホーム」といっても、介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、「サ高住」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅など、さまざまな種類があります。かかる費用は施設によってピンキリですが、いわゆる「高級老人ホーム」と呼ばれる施設では、入居一時金だけで1億円以上かかる施設もあります。 老人ホームに入居する際は、この入居一時金(前払い金)のほか、毎月「月額利用料」を納める必要があります。 月額利用料の主な内訳は、下記のとおりです。 ・家賃 ・食費 ・管理費 ・介護サービス費 ・上乗せ介護費 ・レクリエーション費 など 高級老人ホームの特徴は、なんといっても豪華な設備です。ホテルのように洗練されたエントランスに、遊戯室やジム、シアタールーム、温水プールが設置されている施設もあり、まさに至れり尽くせりです。スタッフも一般的な老人ホームより多めに配置されており、落ち着いた雰囲気のなかで快適に過ごすことができます。 このように、まさに“夢のよう”な高級老人ホームですが、なかにはごく短期間で退去してしまう人も。せっかく高額な入居一時金を支払ったのに、いったいどうしてなのでしょうか。
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