我慢したら体調崩すことも…山あいの小村、村民全員に携帯トイレ1週間分配布 災害時に救援物資届かない恐れに備える
天龍村は10月をめどに、村内の約千人に携帯トイレを1週間分ずつ配布する。1月の能登半島地震では現地で長期間の断水が続き、トイレが使えなくなる事例が多発。災害発生直後に村民がトイレを我慢して体調を崩すことがないように対策を講じる狙いだ。関連予算328万円を盛った本年度一般会計補正予算案が村議会9月定例会で可決された。 【地図】長野県南端の山間地に位置する天龍村
配布する携帯トイレは、便座やバケツに専用の黒い袋を取り付けて排せつし、付属の凝固剤で固めて可燃物として廃棄するタイプ。村は県南端の山間地にあり、村外への道路が限られるため、災害時には救援物資の搬入が滞る可能性もある。村は、災害発生から避難所に仮設トイレが設置されるまで1週間を見込み、1人当たり30セットずつ配る。
村総務課の防災担当者、青木裕一郎さん(32)は、県合同災害支援チーム(チームながの)の一員として能登半島地震の行政支援に参加した。被災地では水洗トイレの復旧が遅れるだけでなく常備薬や嗜好(しこう)品も不足していた状況を目の当たりにしており、「配布を機に備蓄の確認など自助について考える機会にしてほしい」と期待する。
8日の村地震総合防災訓練では、村消防団員らが携帯トイレの使い方を説明。平岡地区の村総合体育施設では、訓練に参加した5集落約50人が、凝固剤を入れた水が固まる様子を実際に確認した。家族と参加した村天龍小学校3年の内藤悠太さん(8)は「地震が起きても、少しでも快適に過ごす方法があることが分かった。地震の時はトイレ設置を手伝うなどしたい」と話していた。