八甲田で発生したクマによる死亡事故 入山規制を要請の方針 一方で観光への影響懸念
RAB青森放送
八甲田で発生したクマによる死亡事故を巡る動きです。 県内全域に出没警報が発表されたことを受け青森市が入山規制を要請する方針を示した一方で、観光への影響も懸念されています。 きょうは朝から雨が降った八甲田。 道路沿いではタケノコ採りに訪れている人の姿は見られません。 ★青森放送 木下玲斗 記者 「女性がクマに襲われ亡くなる事故から一夜が明けました入山地点にはこのように規制線が張られています」 きのう青森市荒川の八甲田山系の山林でタケノコ採りで入山したむつ市在住の80歳代の女性が体長1.5メートルほどのクマに襲われて亡くなりました。 県内でクマによる死亡事故は2021年に平川市で起きて以来でした。 死亡事故を受けて県はきのう全域に2年連続となるツキノワグマ出没警報を発表しました。 県観光政策課は八甲田周辺の登山道の入り口5か所とトイレ5か所に警報とクマの出没を知らせる看板を新しく設置しました。 午後5時まえには県庁で各部局の関係者18人が集まり危機情報連絡員会議を開きました。 会議では関係機関に対し警報発令の周知を徹底するよう強く求めました。 県によりますとクマの出没件数はきのうまでに235件にのぼり、去年の同じ時期より12件多くなりました。 過去最悪だった去年1年間を上回るペースです。 人の被害はきのうの死亡事故が3件目で、去年の同じ時期を1件上回っています。 ★県自然保護課 吉田巧 課長 「人身被害が発生している区域に対しては入山は控えて頂くようお願いします 山というのはクマの生息する場所クマがいますそこを踏まえて改めて確認頂いてさらには人身被害が発生している場所には入山しないということを徹底していただきたい 自分は大丈夫だろうと思って入っている方が被害に遭われていますので繰り返しになるがお願いしていきたい」 青森市の西市長は国や県などを交えた関係者会議を開いて入山規制を要請する方針を示しました。 ★青森市 西秀記 市長 「人身事故が連続して発生している場所につきましては十和田八幡平国立公園内であることを踏まえまして市が出来る対応策につきましては関係者会議等を開きまして国や県など関係機関の皆様と早急に協議して参りたい 現時点ではまだクマが捕獲もされておりませんしそういう意味では危険性がまだ否定出来ない状況にありますので当面は入山を規制したほうがいいのではないかなということで私の方からはそういう提案をしたいと思います」 十和田八幡平国立公園管理事務所によりますときのう女性がクマに襲われた場所は国立公園の特別保護地区内でした。 タケノコなどの植物の採取は法律で禁止されているということです。 ★青森市 西秀記 市長 「本当にこの場所には近づかないようにと注意喚起をしてきたところでございます 今回死亡事故があった区域については立ち入ったり近づいたりしないでいただきたいということを重ねて申し上げる次第でございます」 関係者会議は環境省や県のほか警察と消防などを参集範囲としてあす開催されます。 ★青森放送 木下玲斗 記者 「クマの被害現場から近いこちらのキャンプ場にもロープが張られこの先は立ち入りが出来なくなっています」 女性が襲われた現場からおよそ2キロの距離にある酸ヶ湯温泉キャンプ場は無期限の営業中止となりました。キャンプ場によりますと現場から近いことやクマがまだ駆除されていないことなどから営業を続けるのは難しいと判断したということです。 雨が降る中八甲田にはきょうも登山客の姿が見られましたが…。 ★埼玉・山梨から登山 「無理してけがをしても何かあっても困るからね天気も心配で風も強いしこのクマ出没のこれ(看板)を見るとよけいに気持ちがね」 ★東京から登山 「クマが出たということで酸ヶ湯温泉からもやめておいたほうがいいのではと言われてましてひじょうに残念ですがいまは少し(入山を)迷っている所です」 宿泊客に登山客も多いという酸ヶ湯温泉では現時点で予約のキャンセルなどはないものの、今後の観光への影響を懸念しています。 ★酸ヶ湯温泉 高田新太郎さん 「いつまでこういう状況が続くのかなというのは気になりますね これからキャンプをする人たちが増えてくる時期だったのですがいますでに入っている予約の方たちには電話をしたり閉鎖の連絡にいま追われている最中です」 関係者によりますと亡くなった女性は後頭部や背中に複数のひっかき傷があったということです。専門家もクマが人を襲う対象として認識してしまっている可能性を指摘しており、警察は同じクマがまだ近くにいるとして絶対に立ち入らないよう強く呼びかけています。