「完敗じゃないですよ」DeNA三浦大輔監督は記者の質問を遮り…日本シリーズ初戦“完敗ムード”の中で「ベンチに諦めムードがあったのでは…」
どこかベンチに諦めムードがあったのでは
9回に堀岡をマウンドに上げた時点でブルペンに残っていたのは大原コーチが名前を挙げたジョフレック・ディアス投手にセットアッパーの伊勢大夢投手とクローザーの森原康平投手の3人だった。もちろん明日以降もあり、その先もあるシーズン中なら決してムリする場面ではない。 しかしシリーズの初戦である。 今年はあと最大で7試合。しかも2試合戦えば、1日の移動日があって敵地で3試合。そしてまた移動日の休みがあって2試合とリリーフ陣はリセットできる余裕のある日程だ。大原コーチも「中継ぎは使いやすいと思います」と語っている。そして何より日本シリーズなのである。あれだけ過酷なメジャーのポストシーズンでもリリーフ投手たちは連投、回またぎは平気でこなして世界一を目指すシチュエーションだ。 堀岡が2点を奪われた時点で点差は4点。残りは裏の攻撃だけだ。「ゲームセットまでは何が起こるかわからない。ゲームセットで勝ったか、負けたかが決まる」と指揮官が語っても、どこかベンチに諦めムードがあったのではないか。しかし2点奪われても次の1点を必死で防ぐ。4点差とされても、どう5点差にされるのを防いでいくか。何が起こるかわからないシリーズでは、そういう野球が求められるのではないだろうか。 「あそこは堀岡に託した時点である程度、割り切って使っている。ピッチャー代えたから、抑えられるというわけではないので、そこはあまり気にしてはいないです」 大原コーチが語るように、もちろん堀岡をスイッチすれば5点目が防げたかどうかも分からない。そもそも5点目を防いだとしても、結果的には同点に追いつくには1点足りなかった訳である。
大下克上を目指すDeNAの戦い方
ただ三浦監督が語るように、本当にゲームセットの瞬間まで、そして4試合を勝ち切るまで、何が起こるか分からないのが日本シリーズなのである。そういう最善を尽くすことでしか、日本シリーズを勝ち抜く戦いはないはずなのである。 どんどんと投手を注ぎ込み、継投勝負に持ち込むのはDeNAの最初からのこのシリーズの基本戦略である。ならば例えば捕手を3人、ベンチに入れる必要があるかどうか。捕手を2人にしてその分、もう1人、投手を入れておけば、リリーフ陣の起用にもまた余裕ができるはずである。 残り6試合、次の1点をどう防ぎ、次の1点をどうもぎ取るか。シーズン3位から大下克上を目指すDeNAには、そんな戦い方しかないはずである。
(「プロ野球亭日乗」鷲田康 = 文)
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