年金未納で「差し押さえ」って本当にあるんですか? 数年間「督促」の連絡が届いていますが、貯金がないから大丈夫なのでしょうか…?
日本在住の20歳以上60歳未満の全ての人は、国民年金に加入し、保険料を支払わなくてはなりません。しかし、なかには払いたくても払えない人もいるでしょう。未納のまま放置していると、財産を差し押さえられるかどうか、気になるところです。 とはいえ、「差押え」の事態に陥っても、貯金がなければ心配することはないのでしょうか。そこで、本記事では「差押え」の実態とその対処法について解説していきます。
年金保険料の未納による財産の「差押え」とは?
国民年金保険料の支払いには、納付期限があります。納付期限は、納付対象月の翌月末日です。ただし、うっかり納付期限を過ぎてしまったからといって、すぐさま財産が差し押さえられるわけではありません。 第1段階は「日本年金機構」の職員または委託された民間事業者による「納付勧奨」です。それでも支払われない場合、第2段階の「最終催告状」の送付に移ります。最終催告状も無視した場合、第3段階の「督促状」に切り替わるのです。この督促状も無視した場合、延滞金というペナルティが発生するため、注意するようにしましょう。それでも支払わない場合は、最終段階の財産の「差押え」に入ります。 しかし、差し押さえられる財産がないからといって安心してはいけません。というのも、「連帯納付義務者」と呼ばれる人たちの財産を差し押さえられる可能性があるからです。連帯納付義務者の対象となるのは、世帯主および配偶者です。連帯納付義務者にも、年金保険料を連帯して納付する義務があります。ちなみに、連帯納付義務者に対しても督促状は届きます。
保険料の免除・納付猶予制度とは?
年金保険料が支払えない場合は、保険料の免除・納付猶予制度を利用するようにしましょう。「保険料免除制度」とは、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の人や失業した人を対象とした制度です。申請が承認されると、保険料が免除されます。 免除される額は4種類あり、「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」です。この制度を利用するメリットは、免除されている期間であっても、老齢基礎年金の年金額に反映されることです。ただし、保険料を全額納付した場合と比べて年金額は低くなります。さらに、「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」の受給資格期間に算入されるというメリットもあります。 「保険料納付猶予制度」とは、20歳から50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の人を対象とした制度です。猶予期間も、老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間に算入されるというメリットがあります。しかし、猶予期間中は老齢基礎年金の年金額に反映されません。 ただし、保険料の免除・納付猶予は10年以内であれば、追納が可能です。受け取れる年金額を増やしたいのであれば、経済的に余裕ができたら追納するようにしましょう。
連帯納付義務者の財産が差し押さえられる可能性あり
年金保険料を支払わずに放置していると、最終的には財産を差し押さえられます。本人に貯金がないからといって、安心してはいけません。未納者の連帯納付義務者である世帯主および配偶者には、年金保険料を連帯して支払う義務があるからです。 そのため、連帯納付義務者の財産が差し押さえられてしまう可能性があります。経済的に年金保険料の支払いが難しい場合、保険料の免除・猶予制度の利用を検討してみましょう。 出典 日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収) 日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部