アジア初、美しい海の国際認証「ブルーフラッグ」を取得したビーチはどこ?
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福井県高浜町の若狭和田ビーチの砂浜に2016年7月9日、見慣れない青い旗が掲げられた。環境保全などの基準を満たした海岸に与えられる国際環境認証「ブルーフラッグ」だ。これまで世界50か国、約4000のビーチが取得しているが、アジアで同認証を受けたのは初めて。海風になびく旗を見上げながら、地元関係者は「町の人たちが一丸となって取り組んできた結果です」と胸を張る。
4つの分野で33項目の課題をクリア
環境省の「快水浴場百選」にも選定されている若狭和田ビーチ。その認証団体であるFEE Japanから同百選の海水浴場がある自治体にブルーフラッグ取得を目指さないかと声がかかり、若狭和田ビーチでも2014年4月に取り組みがスタートした。その経緯について高浜町産業振興課の主事、米川浩司さんは次のように話す。 「どこの海水浴場もいま多くの課題を抱えています。ゴミの問題とか、きれいなビーチをどう維持・管理していくかとか。快水浴場百選は海がきれいというだけで一方的に与えられるものですが、ブルーフラッグ取得には定められた4つの分野で33の項目をクリアしなければなりません。その取得を目指すことで、若狭和田ビーチが直面している課題も解決できることに着目したんです」
クリアすべき4項目として挙げられているのは、1=水質、2=環境マネジメント、3=安全性・サービス、4=環境教育と情報。言い換えれば「きれいな海」「人にやさしい海」「安心して楽しめる海」「いろんなことが学べる海」の実現である。 「行政のトップダウンだけでは不可能で、地域の人々が力を合わせて取り組んでいく必要がありました」と米川さんは続ける。「まずは町の各種団体の代表者などで推進部会をつくって定期的に集まり、何をテーマにどう進めていくかを話し合いました。認定されたのは2016年4月なので、取得までに丸2年かかった計算です」
ライフセーバーの日本チャンピオンも参加
「きれいな海」にするためにビーチの清掃を呼びかけると、町の人々が自主的に参加してくれた。広い砂浜が1時間できれいになってしまうほど多くの人が集まったという。「人にやさしい海」の実現に向けては、救護施設を改装して車椅子のまま入れるバリアフリーのトイレなどを設置し、無料で貸出す水陸両用の車椅子も用意。障害者を支援するNPO法人「おひさま」の代表、小島真弓さんがアドバイザー役を務めた。 「海に行きたいと思っても、障害のある人はトイレの心配などがあってなかなか行けません」と、小島さんは言う。「そこで推進部会の人たちにも実際に車椅子に乗ってもらい、駐車場からビーチまでの動線などを確認しながらより人にやさしい環境を整備していきました。その結果、障害を持つ人だけでなく、ベビーカーで来る家族や車椅子の老人も積極的に足を運べる海になったと思います」