『はたらく細胞』永野芽郁&佐藤健が対談。6年ぶりの共演で感じたお互いの変化とは?
清水茜の人気コミックを実写化した映画『はたらく細胞』(公開中)。本作は、その数なんと37兆個という人間の体内にいる細胞が、健康と命を守るために日夜全力で働く姿を描く物語だ。映画では、酸素を運ぶ赤血球、細菌と戦う白血球(好中球)、そのほか無数の細胞たちが、“体内史上最大の戦い”を繰り広げる――。 【写真を見る】「細菌たちのビジュアルを見た時は“電王”を思い出しました(笑)」『はたらく細胞』永野芽郁&佐藤健が対談! はたらく細胞の赤血球を永野芽郁、白血球(好中球)を佐藤健が演じ、人間の体内で躍動する本作。今回、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」以来の共演となる二人にインタビューを実施。6年という時間を感じさせない息ぴったりのトークを展開し、「お互いの印象は変わらない」と声を揃えた二人だが、芝居を通じてお互いに感じた“変化”はあったのだろうか。また、本作を通して考えた自身の体のことについても教えてもらった。 ■「相変わらず華があって、感情が伝わってくる顔と声をしていました」(佐藤) ――番宣や舞台挨拶などで、久しぶりとは思えないコンビネーションのトークを拝見しています。お互いの印象に変化はありましたか?お芝居をするなかで、感じた変化とあわせてお聞かせください。 佐藤「一緒ですね、変わらないです。相変わらず華があって、感情が伝わってくる顔と声をしていました」 永野「以前ご一緒した時も、私からしたら大先輩。そういう意味では安心感はなにも変わらずです。今回もただただ白血球さんのお芝居を見て、いろいろ感じて自然とついていく感じがありました。いろいろと思うことなく、本当に自然で、それはきっとこれからも変わることがないんだろうなって思います」 佐藤「もちろん、よりしっかりしたなとか、より座長としての覚悟というか居方には風格のようなものが強まってはいましたが、基本的な印象は本当にあんまり変わらないです。でも、(本作の)取材を通して初めて知ったことがあって。より“ゲラ”になったらしいです(笑)」 ――心の余裕とかですかね? 永野「それもあるかもしれないですね。以前は現場にいる時は、お芝居することだけに一生懸命でそれ以外のことは考えられていなかった。それはそれでいいと思っていましたけれど、自分の時間が持てたり、誰かとコミュニケーションをとって心を休める時間を意識的に作れるようになったので、そういう意味でなにか余裕ができてちょっとゲラになったのはあるかもしれないです」 ――アクション、目を引くビジュアル、グッとくるストーリーなど、本作には見どころが盛りだくさんですが、赤血球、白血球としての見せ場、注目してほしいポイントを教えてください。 佐藤「白血球の見せ場はアクションです。体を守るために戦っているという存在意義がそこにある。白血球には赤血球を守るというミッションがある。なにかを守ろうとしている姿勢はやっぱり見せ場になっていると思います」 永野「赤血球はポンコツドジっ子で道に迷ってばかりです。自分ではなにもできないと思っているけれど、白血球さんやほかのたくさんの細胞さんたちの頑張っている姿や、自分の職務をまっとうしている姿を見て、いろいろな影響を受けて学びを得ます。そこから『とにかく酸素を届けるんだ!』と一生懸命頑張ろうと前を向いていく姿が見どころの一つになっていると思います」 ――赤血球、すごく頼もしく成長しますよね。 永野「そうなんです!成長した姿を後輩の赤血球に見せていく。細胞の世界も人間の世界も一緒なんだなって思いました」 ■「ビジュアルがあまりにも完璧すぎちゃって逆におもしろい」(永野) ――細胞役というのはなかなか経験しない役どころかと思います。演じるうえで感じた難しさ、おもしろさなどを教えてください。 佐藤「自由なところがおもしろかったです。特にアクションはなにをしてもいい。重力を無視していいというのはおもしろいなと。可能性が広がると思いました。原作の漫画やアニメがなかったら、取っ掛かりがつかめなかったと思うけれど、目指すものがはっきりしていたので、細胞というなじみのない役でも、やりやすかったです」 永野「役との向き合い方みたいなものは、人を演じる時と一緒で、細胞を演じることで難しかったことは意外とないんです。健さんがおっしゃったように、原作やアニメなどお手本にするものがあったので、常にお守りのように見ながらやっていました。原作と離れすぎるのは嫌だったので、参考にしながら演じることを心がけていました」 ――お互いのビジュアルを見た時はいかがでしたか?白血球さんのインパクトは大きかったのではないでしょうか? 永野「白く塗るとは聞いていたので、健さんだからきっとやり切るんだろうなとは思っていました。でも、ビジュアルがあまりにも完璧すぎちゃって逆におもしろいっていう(笑)。なのに健さんはすっと立っているから、見ているだけでおもしろく、慣れるまでちょっと時間はかかりましたけれど、笑わないように頑張りました」 佐藤「よりゲラになっているから、余計におもしろく感じたんじゃない?」 永野「そうか!だからあんなにおもしろいと思ったのかな」 佐藤「あの姿は誰が見てもおもしろいと思うよ(笑)」 ――ビジュアルで衝撃を受けた細胞はいましたか? 佐藤「意外とみんな普通だった気がします。白血球は白く塗るけれど、それ以外の細胞は肌の色はあまり変えていないので」 永野「でも、(小沢真珠が演じた)黄色ブドウ球菌とかすごかったですよね?」 佐藤「確かに。僕は1日くらいしか一緒じゃなかったけれど」 永野「あと(片岡愛之助が演じた)肺炎球菌とか」 佐藤「人間の体を“脅かす”細菌たちだね。彼らを見た時はなんか“戦隊モノ”を思いだしました。仮面ライダー電王をやっていたころとかを」 ――なるほど!だからビジュアルの衝撃というのはあまりなかった? 佐藤「かもしれないですね」 ――健康と命を守るためにはたらく細胞たちの姿が描かれる本作。永野さんからもスラスラと細胞の名前が飛びだしていましたが、武内監督は「自分の体に興味を持ってほしい!」とインタビューの際におっしゃっていました。お二人が役を通して興味が出た細胞はありましたか? 佐藤「基本的に細胞は大脳の指示で動くけれど、そういうのとは一切関係なく、独立して勝手に動く細胞がいるのはおもしろいなと」 永野「私は学生時代、勉強が苦手だったので、今回初めて知る細胞がほとんどでした。赤血球と白血球の名前はもちろんわかるけれど、『どんなはたらきをしているのか』と訊かれたら、ポンって答えられないくらい知識がなかったんです。なので台本を見た時はすべてが学びでした。『あ!』『え?』『なるほど!』って言いながら読みました」 佐藤「フフフ(笑)」 永野「(「はたらく細胞」に)学生時代に出会えていたら勉強嫌いにならなくて済んだのになって思いました。でも、いま勉強を頑張っている人や、苦手だと感じている人には読んでほしいし、観てほしいです。あと、頑張りすぎなくても楽しく学べるものがあるって伝えたいです!」 ――細胞についての知識も得たということで。ご自身の体のなかで、会ってみたい、話をしてみたい、向き合ってみたい細胞はいますか?内臓などでもOKです。 佐藤「臓器でもいいのか」 永野「であれば、胃腸です!私、本当によく食べるんです。お腹いっぱい食べても、なんか食べたくなっちゃう(笑)」 佐藤「消化が早いのかな?」 永野「いや、消化していないのに次を入れているから、すごい速度で頑張っている気がするんです」 佐藤「かわいそうだね」 永野「そう!だから一旦『ごめんね』って伝えたいのです。『次から次へと食べ物を送り込まれてどんな感じだった?』って(笑)」 佐藤「嫌だったよ、大変だったよ~(胃腸の声を代弁)」 永野「大変だったの~?」 佐藤「(永野の胃腸になりきって)苦しいよ~、吐いちゃうよ~」 永野「そうなってると思う(笑)。だから一回会って、とにかく謝りたいです。健さんは?」 佐藤「僕は肺気胸になったことがあって。10代の時に肺に穴が空いたんだよね。でも、最近空いてないから、『調子はどう?』って訊きたいかな。『そろそろ空く?』って、確認したいです」 永野「それって繰り返しちゃうんですか?」 佐藤「手術をしない限り再発率は50%。だから、僕も2、3回再発してるんだよね。でもここ10年くらいは再発していないから、様子を確認したいかな」 永野「それは本当に訊きたい!私の胃腸なんてどうでもよくなりました。私が健さんの肺と話したくなりました」 ――臓器の擬人化まで、ありがとうございます(笑)。お二人が、健康のために気をつけていることを教えてください。 佐藤「乾燥には昔からずっと気をつけています。加湿器をつけて、水をこまめに飲む。外からも中からも気をつけています」 永野「私は手洗い、うがい、よく食べてよく寝ることです!」 ■「ちょっとでも自分の体にとっていいほうを選んでいます」(永野) ――劇中には阿部サダヲさん演じる人間のボロボロの体内で働く細胞も出てきましたが、作品を通して気をつけたいと思ったことはありますか? 佐藤「あのお父さんの不摂生はダメですよね。たまにはしてもいいけれど、毎日はやらないほうがいい。それよりも僕が気になったのは、娘の(芦田愛菜が演じた)日胡ちゃんが、父親のために作るお弁当。食べすぎちゃいけないから、メニューも工夫して作ってくれているけれど、あれはちょっと量が少なすぎるかなって」 永野「結局追加で食べますよね」 佐藤「逆にね。もうちょっと増やしてあげたら?って思いながら観てました(笑)」 永野「作品を通じて、体をもうちょっと気遣おう!という気持ちにはなりました。例えば2つ選択肢があったら、ちょっとでも自分の体にとっていいほうを選んでいます」 ――白血球が赤血球を“守る”姿も印象的です。お二人が“守りたいと思うもの”はありますか? 永野「自分が成人した時に、ようやく年齢的に大人になったので、ここからは自分が母を守っていく側になるんだなって思いました。それまでは守られて生きてきたし育ててもらっていた。きっとこれからも母は守ってくれるし、育ててくれるけれど、でも、どこかで今度は私が守る番だなって思ったから、楽しく過ごしてほしいなといつも思っています」 ――佐藤さんはいかがですか? 永野「私じゃない?(笑)」 ――おねだりですね(笑) 佐藤「永野さんです(笑)」 ――理由もお願いします! 佐藤「やっぱり、この人の悲しい顔は見たくないなって思いますね」 永野「え?本当に守りたいものは私ってことで話してます?」 佐藤「そうだよ」 永野「ありがとうございます!」 佐藤「いつも笑っていてほしいなって思いますね」 取材・文/タナカシノブ