敷地18坪の住宅密集地。厳しい設計条件を斬新なデザインでクリアした建築家・小川貴之さんの自邸
傾斜したRC壁が目を引くこの住まいは建築家・小川貴之さんの自邸。高度地区の影響で高さは8m程度まで、4m道路の影響で容積率も必要最小限という設計条件をクリアし、住まいのなかに自然光に満ちた開放感ある住まいを叶えました。 【写真集】高さや間口、制限付きの18坪を生かすには?建築家・小川貴之さんの斬新な自邸
深さ10mの“小さな谷”越しに移ろう光を感じながら暮らす
傾斜したRC壁が目を引く外観。扉の先には地下から4層を貫く光の庭に開いたのびやかな空間が広がります。住宅密集地に立つこの家は、建築家・小川貴之さんの自邸。約18.5坪の敷地は間口5m×奥行き11mで、両隣の家は3階建て。背面と東面道路の向こう側にはマンションが立っています。 「敷地は建物に埋もれる印象で、建物のスカイラインがもう1つの地形のようでした。家の中心に作品名でもある“ベイル(小さな谷)”をつくったのは、視線や動線を内に向けるため。さらに外観に関わる厳しい法規制を意識させないデザインを模索しました」
アトリエ兼住宅のため、4層のプランが必須に。建物の高さ制限は、床の厚さを抑えられる壁式鉄筋コンクリート造としてクリアしました。また、法法制度により斜線制限で建て物が削られてしまう部分がありましたが、その法制度を上手に活用し、斜めに切り立つ壁として意匠化。端正な外観に仕上げました。奥行きを生かした構成で、深さ10mのベイルが分かつ東西の空間をブリッジがつないでいます。 天窓から差す光のグラデーション、ブリッジをわたる浮遊感…。室内の庭に開放し、住宅密集地でありながら、非日常を味わえる優美な住まいが完成しました。