長野に「東海道線」? しなの鉄道に湘南カラーの電車復活
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長野県北部を走る第三セクターの「しなの鉄道」は20日、「湘南カラー」の電車を復活させ戸倉~軽井沢間でお披露目の臨時列車を運行、鉄道ファンらでにぎわいました。長野県への旅を誘うJR、県、観光関係団体などによる信州デスティネーションキャンペーン(7~9月)に合わせた企画。先に「初代長野カラー」の電車を復活させたのに続く登場で、さらに7月には別の塗色の電車の運行も予定し、ファンの期待を集めています。 【写真】<北陸新幹線>在来線の三セク移行 「地域の足」正念場
旧国鉄がデザイン、各地に広がる
湘南カラーは旧国鉄が1950年に東海道線の湘南方面を走る電車を緑色とオレンジ色でデザインしたのが始まり。戦後のまだ混乱が続く世相の中でその明るいイメージと快速の様子が子どもらにも人気でした。 この塗色はその後、長野県内など各地で運用され、しなの鉄道では2013年に引退した169系の電車で湘南カラーを復活。今回は同社の115系の車両で初めて湘南カラーを施して登場しました。
この日午前10時過ぎから戸倉駅で出発式を行い、10時32分に軽井沢に向けて出発。3両編成の電車には県内外から駆け付けた鉄道ファンが乗り込み、車窓の風景などにカメラを向けていました。 1時間余で軽井沢に着いた電車は、折り返し運転までの時間を利用して駅構内で電車の撮影会。記念グッズなどの販売も行われました。
第一弾では初代長野カラーの塗色も
しなの鉄道は、アイボリーホワイトと緑色という同社初代の塗色を施した115系電車を4月に復活、戸倉~軽井沢間で臨時列車も走らせており、今回の湘南カラーは第2弾。7月に予定している第3弾の塗色(未定)と合わせ3種類の新デザインの電車を当分の間、走らせる予定です。これで同社オリジナルの「しなてつカラー」と合わせ4種類の塗色の電車が今夏までにそろうことになります。
新幹線開業などに伴いJRから分離された在来線の第三セクターは、どこも経営に多くの課題を抱え、増収対策に懸命。長野新幹線開業(1997年)で信越本線の軽井沢~篠ノ井間を引き継いだしなの鉄道も、これまでに食堂車を持つ観光列車「ろくもん」の運行で注目を集めるなど積極策を展開しています。 車両の塗色でアピールするのも乗客や鉄道ファンへのサービスの一環で、第三セクターのこうした知恵比べは続きそうです。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説