種類が多い「おせち料理」。その中で必ず用意したい3品とは?【年末から年始のマナー】
お正月の食べものと言えば、おせち料理。でも、「おせち」とはどういう意味なのか、なぜお正月におせちを食べるのかは意外に知らないものです。そこで、おせち料理の由来や、これだけは用意したい料理について、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に教えてもらいました。 【マンガで確認】大掃除終わってないけど…しめ飾り飾っていい? ■「祝い肴」と呼ばれる3品があればOK 「おせちという言葉は『お節句(節供)』が変化したもので、昔は五節句のお祝い料理すべてが『おせち料理』と呼ばれていました。そのうち、節日の中でも特におめでたいお正月だけが別格に扱われるようになり、今では、おせち料理はお正月料理だけをさすようになったのです」(岩下先生) おせちは年神様への供え物として、五穀豊穣や健康、子孫繁栄の願いを込めて作るものです。 そして、昔は「日が暮れたら日付けが変わる」という考え方だったので、年越しのお祝い料理として大晦日の夕食に食べていました。 「しきたりでは、大晦日の夜におせちを食べるのは正しいこと。今でも北海道や東北地方の一部にはその風習が残っています。みなさんのご家庭でも、家族の都合に合わせ、大晦日の夕方でも元日以降にいただいても問題ありません」(岩下先生) とはいえ、現代の多忙な家庭では、慌ただしい年末におせち料理を何品も手作りしたり、買いそろえたりするのは、大変な労力と時間がかかるため、おせちが敬遠されてしまう傾向にあります。 そんなとき、最低でもこれだけは用意しておきたいのが、「祝い肴」と呼ばれる3品です。 「関東では黒豆・田作り(ごまめ)・数の子、関西では黒豆・たたきゴボウ・数の子です。子孫繁栄や不老長寿、豊作などを意味するこの3品は、おせちの代表的な料理で、この3つが揃えばおせちの形が調うと言われています」(岩下先生) *** 豪華なおせち料理がないとお正月が来ないわけではないし、無理をしてまで手作りにこだわる必要もありません。今度のお正月はぜひこの3品を肴に、大晦日から元日まで、のんびりと家族の時間を過ごしてみませんか。 教えてくれたのは… ▶岩下宣子先生 「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。 文=高梨奈々