マルコ・ベロッキオ監督作『夜の外側』本ビジュアル&予告編公開 印象的なモーロの言葉が
8月9日にBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほかで全国順次ロードショーされるマルコ・ベロッキオ監督作『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』の本ビジュアルと本予告編、場面写真が公開された。 【写真】『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』場面写真 本作は、ベロッキオ監督がヨーロッパ現代史上の大事件「アルド・モーロ誘拐事件」を題材に、史実とフィクションを織り交ぜながら壮大な人間模様を描いた340分の大長編。 1978年3月のある朝、元首相で、キリスト教民主党の党首のアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲われ、誘拐された。冷戦下で混迷を極め、“鉛の時代”と呼ばれていたイタリアで起きた国家を揺るがす大事件の裏側で、その時一体何が起こっていたのか。 主演は、『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』に出演したファブリツィオ・ジフーニ。ベロッキオ監督はジフーニに対して、「彼は疑いの余地なく、アルド・モーロそのものだ」と語り、ジフーニは、この作品で第78回ナストロ・ダルジェント賞、第68回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀主演男優賞を受賞した。妻エレオノーラ役を演じたマルゲリータ・ブイも、第78回ナストロ・ダルジェント賞で最優秀主演女優賞を受賞。また時の教皇パウロ6世を演じたトニ・セルヴィッロは、第68回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞助演男優賞にノミネートされた。 映画評論家・秦早穗子は本作について、「1978 年。ひとりの政治家の誘拐と殺人。ローマ教皇から、全ての政党と家族を巻き込む。いやイタリア中を揺るがす。政治における権力闘争と金。マフィアの暗躍、更に大きな力が介入したかも。夜の闇の内と外。マルコ・ベロッキオの情熱と理性が、我らの心に火をつける」とコメントを寄せた。 また、映画誌・比較文学研究家の四方田犬彦は「これは悪と背信の叙事詩である。また愛と期待のメロドラマでもある。ベロッキオはつねに家庭と権力、夢と解放を描いてきた。要するに、イタリアのすべてを描いてきたといえる」と語った。 公開された本ビジュアルは、赤を基調とし、手で顔を覆い隠す象徴的なモーロを中心に、本作の主要登場人物たちが集結している。モーロの写真の横には、「生きたいと願うことの何が狂っていますか?」という言葉が。これは劇中で「赤い旅団」に監禁され50日以上が経ったモーロが、神父に告解する場面で吐露する言葉である。 あわせて公開された予告編は、ジャネットの楽曲「Porque te vas」にのせて、モーロが「赤い旅団」に誘拐され、家族をはじめ、政府関係者や教皇が戸惑う姿や、赤い旅団のメンバーが決起する姿などがリズミカルに映し出されていく。ラストはモーロが神父に告解。ここでも、「生きたいと願うことの何が狂っていますか?」という言葉が印象的に響いている。 また、日本での上映形態がイタリア本国での劇場公開時の上映形態にと同じく、前編(I~III)と後編(IV~VI)、各170分に分けて上映されることが決定した。特別鑑賞2回券はポストカード6枚組付、2800円でBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下では6月14日夕刻より、メイジャー・ネット通販では 6月21日より発売開始される。 コメント 四方田犬彦(映画誌・比較文学研究家) これは悪と背信の叙事詩である。 また愛と期待のメロドラマでもある。 ベロッキオはつねに家庭と権力、夢と解放を描いてきた。 要するに、イタリアのすべてを描いてきたといえる。 秦早穗子(映画評論家) 1978年。ひとりの政治家の誘拐と殺人。 ローマ教皇から、全ての政党と家族を巻き込む。 いやイタリア中を揺るがす。政治における権力闘争と金。 マフィアの暗躍、更に大きな力が介入したかも。夜の闇の内と外。 マルコ・ベロッキオの情熱と理性が、我らの心に火をつける。
リアルサウンド編集部