草笛光子×内野聖陽 年齢差35歳、2人を結ぶ絆とは「あなたとは昔からの知り合いみたいな気がするわ」「舞台終演後の焼き肉屋さんで倒れ、草笛さんに病院まで運んでもらった」
◆リラックスできる間柄だから 草笛 その日だったか、後日だったか、一緒に食事をしたらあなたが食べ過ぎて、倒れちゃったことがあったでしょう。 内野 終演後、草笛さんが焼き肉屋さんに連れていってくださったのに、舞台への緊張のせいか、その日は体調がいまひとつだった。一口目のビールが全然おいしいと思えなくて、自分でも「あれ?」と感じてはいたんですよね。でもお肉はおいしいからどんどん食べて、飲んでいたら、突然トイレから出られなくなっちゃって。 草笛 私、すごく責任を感じたわけ。それで知っている病院に運んだの。院長先生に「すみませんけど、私の友人がどうもダメになっちゃったので、一晩面倒みてくださいますか」って。 内野 目が覚めたら、ものすごい美人のお医者さんが目の前にいたことだけよく覚えています。(笑) 草笛 私、あなたのマネージャーさんにも、「明日ここに迎えに行ってくださいね」って連絡したのよ。
内野 草笛さんにはなにからなにまでお世話になったと思いますけど、失礼ながら僕は一切覚えてないんですよ。 思い出せるのは、「あなた~、大丈夫~? どうしたの~?」ってトイレのドアをノックする、心配そうな草笛さんの声だけ(笑)。「苦しいです……」と答えながら意識を失ったので。 草笛 あなたの気持ちいいところは、本当によく食べるところ。そして、よく飲む。私が飼っていたゴールデンレトリバーのシャーリーの上に覆いかぶさったまま、うちの長椅子で寝ちゃったこともあったじゃない。 内野 大酒くらっちゃうのは、草笛さんといるとリラックスできるからでしょうね。あのころご自宅に遊びに行くと、よく部屋で音楽をかけて、それに合わせて即興で体を動かしてらっしゃいましたね。 「私たちは音楽が聞こえてきたら、こうやって自由に動けなくちゃダメなのよ」とか言いながら。 草笛 文学座で正統派の演技を身につけてきたあなたを、少し揺さぶりたくなったんじゃないかしら。 (構成=篠藤ゆり、撮影=天日恵美子)
草笛光子,内野聖陽
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