なぜ? “レトロモダン”な最新EV ルノー「20年使える形」の狙い 新型5 Eテック
部品共有で低コスト実現 小型・軽量化も
競争が激化する小型EV市場における武器の1つが「低価格」であり、欧州でのベース価格は2万5000ユーロ(約400万円)とされる。 プラットフォームは、主要構造の大部分をクリオや日産ジュークと共通化するアンペア・スモール(旧:CMF-BEV)を採用した。新たに専用プラットフォームを開発するよりも、開発コストを30%削減できたと言われている。 モーターやバッテリーは、全長3.92m、全幅1.8mというコンパクトなボディサイズに合わせて小型・軽量化されている。 例えば、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーは、各セルを大きな四角いモジュールにまとめたシンプルなレイアウトを採用。40kWh容量では総重量240kg、52kWh容量では300kgを実現した。 そのため、40kWhバッテリーを搭載した5 Eテックのエントリーモデルの車両重量はわずか1372kgに抑えられている。ルノー初の量産EVであるゾエは、その約半分の容量(22kWh)でありながら、重量は100kg近く重い1468kgだった。 52kWhバッテリー搭載車の車両重量は1449kgで、ライバルのプジョーe-208と同等だ。 こうした軽量化の努力の結果、走行性能にも大きなメリットがあった。あるエンジニアが取材で語ったところによると、ルノーのサーキットでe-208をベンチマークとしてテスト走行を行ったところ、コーナリングスピードは5 Eテックの方が速かったという。
航続距離は最長400km 来年から生産開始
なお、モーター出力は仕様によって95ps(70kW)、122ps(90kW)、150ps(110kW)の3種類が用意される。122psのモデルは0-100km/h加速8.0秒以下と謳われている。 航続距離は40kWhバッテリー搭載車で300km、52kWh車で400kmとされる。 充電能力はバッテリーにより異なり、40kWhで最大80kW(DC急速充電)、52kWhで100kWとなる。 また、最大11kWの外部給電機能も備えており、余った電力を売電することもできる。 インテリアでは、10.0インチのデジタルメーターディスプレイとインフォテインメント・スクリーンを1枚のパネルに統合。棚のように張り出したダッシュボードはラリーカーにインスパイアされたもので、数種類のテキスタイルが用意されている。 サステナビリティを重視し、レザー素材は未使用。41kgのポリマーを含め、材料の18%がリサイクル素材となる。 5 Eテックは2025年半ばから、フランス北部の工場で生産開始予定だ。モーターは、初代5のエンジンを生産していたクレオン工場で生産される。
チャーリー・マーティン(執筆) スティーブ・クロプリー(執筆) 林汰久也(翻訳)