なぜ? “レトロモダン”な最新EV ルノー「20年使える形」の狙い 新型5 Eテック
重要な意味を込めた「レトロ」デザイン
ルノーが2月26日に発表した新型量産EV「5 Eテック」は、レトロモダンなデザインを特徴とするが、これは単なる "懐かしさ" だけを狙ったのものではない。 【写真】シンプルでかわいい「レトロモダン」な最新EV【新型ルノー5 Eテックを写真で見る】 (16枚) デザイン責任者のローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏は、BMWミニやフィアット500、あるいはポルシェ911のような、長く愛されるアイコニックな外観を目指したと語る。 同氏によると、レトロモダンなデザインは販売面で有利に働くが、フルモデルチェンジの際に課題が生じやすいという。しかし、5 Eテックのデザインは「20年はもつと考えています」と自信を見せる。 5 Eテックと同クラスにクリオ(日本名:ルーテシア)があり、こちらは時代とともにデザインを変えていくという。 新型車のデザインを決めるのはデザイナーだけではない。ルノー・グループのルカ・デ・メオCEOは、フィアット在籍時に500を復活させ、レトロデザインに熱心なことで知られる人物だ。 デ・メオCEOはブランド戦略の一環として、旧来の人気モデルを参照したデザインにより、ブランドの歴史とのつながりを感じさせることを重視している。ルノー着任後すぐに5 Eテックのデザインを承認したのも、こうした狙いがある。 今後数年間でルノーからレトロなEVが続々と登場するが、5 Eテックはその第1弾となる。同社の新経営計画「ルノーリューション(Renaulution)」の看板的なモデルであり、ブランドイメージや販売面でも非常に重要なポジションに置かれている。
主張しすぎない空力ボディ
5 Eテックは1970年代の初代ルノー5へのオマージュとして、全体的に硬質なエッジと柔らかい曲線を融合させている。 ヘッドライトは人間の瞳孔をイメージしており、キーフォブを持って車両に近づくと「ウインク」する。ボンネットには初代5の冷却ダクトを模した充電インジケーター(バッテリー残量計)が備わっている。 リアエンドでは、ブラックのパネルに「Renault」の文字と新しい「5」のバッジが添えられている。 かつての5ターボを彷彿とさせるルーフマウントのリップスポイラーや、フラットな形状のアルミホイール、スラット付きのリアライトなどは空気の流れを整え、航続距離を合計20kmほど伸ばしているという。