常廣羽也斗と下村海翔を手懐けた人間力 青学大・渡部海は2年後のドラフトを賑わせる逸材
学生野球を見ていると、時に「この選手は2周目の人生を送っているのかな?」と勘ぐってしまうくらい精神年齢の高い選手に出会うことがある。昨年に青山学院大の1年生捕手としてデビューした渡部海(わたべ・かい)もそうだった。 【写真】実力派の野球美女たち。私服・ユニフォーム姿の厳選カット集(19枚) 【常廣羽也斗が絶賛した人間力】 技術的にハイレベルなのは間違いない。それ以上に落ち着いた佇まいが印象的だった。3学年上の常廣羽也斗(広島ドラフト1位)、下村海翔(阪神ドラフト1位)など豪華投手陣を、まるで年下のように手懐ける。青山学院大の大学選手権優勝、明治神宮大会準優勝の陰のMVPは渡部と言ってよかった。 常廣に聞いたことがある。入学して間もない渡部が正捕手になって、不安や不満はなかったのかと。同期には当時正捕手だった佐藤英雄(西濃運輸)などの好捕手もいたのだ。だが、常廣は「まったくないですね」と断言した。 「実力が違うのと、渡部はいつも堂々としていて頼れるんです。後輩ですけど、ピッチャーとして甘えられる存在というか。懐の広さがあって、キャッチングもうまい。フォークを投げていても、『逸らさないだろうな』という安心感がありました」 常廣は取材に対して饒舌に語るタイプではないだけに、渡部への賛辞が絶えないことに驚かされた。そして、常廣はこう続けた。 「あいつはいつも同じ顔で練習しているんです。気持ちに波がないように見せるのがうまい。自分は子どもっぽいところがあって、すぐイライラして練習に身が入らないこともあるんですけど、渡部はいつも同じ顔でグラウンドに来る。人間的にすごいなと思います」 この言葉に渡部の魅力が凝縮されていると言っていい。故障など大きなトラブルでもない限り、渡部は向こう3年、大学球界の中心的捕手に君臨し続けるに違いない。 そして気が早いが、2026年ドラフト戦線でも渡部は最注目の捕手になる可能性がある。稀代の好捕手のルーツを本人の証言からたどっていきたい。