Photographer: Montinique Monroe/Getty Images North America

（ブルームバーグ）： 米民主党の大統領候補としてハリス副大統領に一躍注目が集まったことで、TikTok（ティックトック）やインスタグラム、Ｘ（旧ツイッター）でハリス氏のミームが拡散し、貴重な宣伝効果をもたらしている。

ハリス氏陣営は、若者らの票に結びつくことを期待し、ネット上の内輪のジョークに目配せしている。

ＳＮＳで拡散しているのは、ハリス氏のシンボルである「ココナツの木」の絵文字。さらに英人気歌手チャーリーＸＣＸさんが、最新アルバムを引き合いにハリス氏は「ブラット（おちゃめ）」とＸに投稿し、注目を集めた。ハリス氏陣営は、この絵文字とライムグリーンの色が際立つアルバムを戦略に取り込もうとしている。

しかし、専門家はミームを活用する選挙戦略はリスクが高いと指摘する。ミームへの過度の傾倒は、面白さを失わせたり、ミームが分からない人を遠ざけたり、政策や投票の重要性といったより大事なメッセージに注意が向かなくなったりする恐れがあるという。とはいえ、ハリス氏はできる限り注目を集める必要がある。

ノースウェスタン大学コミュニケーション校のエリック・ニスベット教授は「副大統領は、ほとんどの米国民にとって関心の中心ではない。だが今の状況は、政治にあまり関心を示さない有権者など、より幅広い層にハリス氏を浸透させる絶好の機会だ」と指摘した。

インスタグラムとTikTok、Ｘのハリス氏陣営のアカウントでは、ハリス氏のミームや動画などのコンテンツが数百万回再生された。

アメリカン大学のシェリー・ウィリアムズ教授（ジャーナリズム）は、民主党にとって緊張に満ちた数週間が過ぎた後、「これらのミームの一部が選挙に楽しさを吹き込み、特定の層とのつながりを生んだのではないか」と分析した。

一方、ハリス氏は25日のＸへの投稿で、TikTokに個人アカウントを開設したと明らかにした。最初の投稿のキャプションは「そろそろ加わるべき時が来たと思った！」。約50分で視聴回数は50万回を超え、フォロワーは14万9000人余りに達した。