発砲したら暴れた熊 「馬乗りになられて…」 手をかまれた塩尻市職員が語った一部始終
塩尻市宗賀床尾の山林で6月上旬、くくりわなにかかった熊に襲われて左手を5針縫うけがをした同市耕地林務課職員の20代男性が信濃毎日新聞の取材に応じ、当時の状況を語った。わなにかかったまま人と遭遇し、猟銃の発砲音を聞いた熊は「パニック状態のようだった」という。 【写真】塩尻市職員の男性が熊に襲われた現場
1日午前7時ごろ、ニホンジカ用のくくりわなに熊がかかっている―と市猟友会から連絡があり、男性も現場へ向かった。熊は体長80センチほど。脚がわなにかかったまま、草陰に隠れながら歩き回っていた。熊は男性に気付くと、うなって威嚇してきたという。
わなが外れる危険性が大きかったため射殺が決まり、猟友会員が発砲した。だが、暴れた熊がワイヤを引きちぎって会員に突進。会員はバランスを崩して倒れ、熊が馬乗りになってきた。
男性は熊を追い払おうと、棒を拾って熊に近づいた。振り向いた熊は標的を変え、今度は男性に突進。その拍子に男性は棒を手放し、あおむけに倒れた。馬乗りになってきた熊を払いのけようと、とっさに両手で熊の口元を押さえた際、左手の親指が付け根まで口の中に入り、かまれた。
それでも男性は必死に熊を払いのけた。熊は近くにあった松の木に登ろうとして落ち、射殺された。左手のけがについて「今も腫れていて少し痛む」と男性。何よりも熊と出合わないことが重要とし、「(山に入る際は)熊鈴やラジオを携帯するなど対策をしてほしい」と訴えた。