お米を愛する写真家の「はたちメシ」 20歳の自分に伝えたい夢は… 人と食を撮り続けて
中高時代、奥田民生がボーカルのUNICORN(ユニコーン)が大好きだったと教えてくれる。 時は1990年代初頭、世は空前のバンドブームだ。私も同年代なので、あの頃バービーボーイズが好きだったな……なんてメモを取りつつ思い出す。 受験戦争も激しい頃だったが、進学についてはどんな思いだったろう。 「早く働きたかった。大学に行く目的もないし。親も一切干渉しないんです、『キヨコなら(社会出ても)大丈夫なんちゃうー』ぐらいの感じ(笑)。バイト先の雑貨店で素敵な先輩がいて、彼女からカルチャー全般教わったんですけど、そのうちのひとつがカメラでした」 いいカメラを持っていた先輩と京都へ遊びに行き、気になる場所で撮り合いっこをした。 キヨコさんが撮った写真を先輩は褒めてくれ、プリントしてプレゼントしてくれたのだった。 「それを見た瞬間『あ、これや!』って思って、すぐ中古カメラを買いました。プロの写真家さんのレッスンを受けたくて、『ケイコとマナブ』で探して」 『ケイコとマナブ』は、リクルートが発行していた習い事や資格スクールの情報誌。キヨコさん、思い立ったら行動力の人である。最初に行ったスクールの先生がいい人で、のちに師匠となるのだから展開が早い。アシスタントをしながら様々な現場で経験を積み、27歳になる2003年に独立した。 ここで、温め直した山菜おこわを食べていただく。わらびやふき、ぜんまいにたけのこが入ったおこわから湯気が上がっていい匂い。 「なんなんこれ、むっちゃおいしそうやーん」と目をきらきらさせてキヨコさんが言う。 キヨコさんは写真家だが、被写体としても素晴らしいなと撮影していて思った。ここまでおいしそうに食べてくれる人もなかなかいない。 「だってほんまにおいしいねんもん、ああ~久しぶりやな山菜おこわ。最近食べてなかった。食べものの好みはずっと変われへんけど、量が減った。45歳を超したぐらいからごはんのおかわり、しなくなって。でも体重は減らんねん(笑)」