【COS】が京都の伝統工芸「たばた絞り」とコラボレーション。夏のムード香るカプセルコレクションが発売
ロンドン発のブランドCOS(コス)が、京都を拠点に活動する絞り染め職人の田端和樹とコラボレーション。COSのタイムレスなワードローブに、日本の伝統的な柄を落とし込んだカプセルコレクションは、ジャケットやドレス、スカーフなどがラインナップ。絞り染めの風合いを生かしたアイテムの数々は、夏の装いのカンフル剤として活躍してくれそうだ。 【写真】カプセルコレクションの全アイテムをチェック!
COSが日本の職人とタッグを組むのは初めて。インスタグラムで田端の作品を見たCOSがオファーしたことをきっかけに、今回のコラボレーションが実現した。デザインディレクターであるカリン・グスタフソンは、本コレクションの魅力について、こう述べる。「コレクションは“自然”がインスピレーション源。なかでも“水”や“波”を表現するアートワークとして、私たちが着目したのが絞り染めでした。田端さんが作り上げた美しい柄を最大限に引き出すよう、流動的なシルエットやリラクシングな着心地にこだわって製作しました」。
1000年以上続く、絞り染めの伝統を受け継ぐ「たばた絞り」
絞り染めは、水に恵まれた京都で発展を遂げ、1000年以上にわたって継承されてきた、鮮やかな色彩や、模様の美しさが特徴の伝統工芸。布を染める際に、生地を糸で絞ったり、ねじったり、折りたたんだりすることで、染料が染まりにくい部分を作り、独特の模様を生み出す。従来、京都では絹のみに施されてきたこの技法を、麻や綿などにも応用したのが「たばた絞り」だ。 「京都の絞り染めに使用する布地は本来、絹のみと限定されていたのですが、着物の需要が減って、絹を染める機会がどんどん少なくなっていることに危機感を抱きました。そこで、絹だけでなく、麻や綿など他の素材を使用した絞り染めのプロダクトを作るため、19年前に『たばた絞り』を創業したのです」。衰退の危機にある京都の伝統工芸の魅力をより多くの人に広め、後世につなぐことが使命だと、田端は語る。
今回、50以上ある絞り染めの技法の中から田端が採用したのは、雪の結晶のように華やかな「雪花(せっか)絞り」と、ストライプ柄が印象的な「手筋(てすじ)絞り」の二つ。どちらも染め終わるまで、どんな模様になるかわからない偶然性を秘めた技法であり、思い描く柄が現れるまで何度も試行錯誤を重ねたという。こうしてでき上がった柄を、COSのデザインチームがデジタルプリントで忠実に再現。クラフツマンシップとテクノロジーをかけ合わせた唯一無二のコレクションが完成した。 「絞り染めの独特のにじみや、かすれ具合いを細部までプリントで表現するのは難しいのですが、COSと協業することで、本物と見分けがつかないくらいクオリティの高いものに仕上げることができました。絞りの世界では、一人が手作業で作る作品数には限りがあります。COSとのコラボレーションを通じて、絞り染めを世界中の人々に紹介できるということは、作り手である私にとって最大の喜びです」と、田端はコラボレーションの手応えについて語った。