岡田将生、『虎に翼』で新たなチャレンジ「“クセがない”航一と真っ向から戦っている」
◆『虎に翼』で新たなチャレンジ「クセが強い役で、終わらせたくない」
感謝や情熱がにじむ岡田の言葉からは、彼の人間力がひしひしと伝わる。その人間力が注がれることで、30代半ばを迎えた岡田は味わい深いキャラクターを次々と生み出している。本作で演じた孔は「人生にときめいていない」とエレナに言い放つが、なぜそのような男になったのかという背景が分かるごとに、どんどん魅力があふれてくるようなキャラクターとなった。また岡田が、主人公の寅子と交流を深めていく裁判官・星航一に扮している『虎に翼』では、航一が寅子にやさしさや笑顔を見せるたびに、彼に釘付けになった視聴者も多いことだろう。 個性的な役までを演じ切り「クセが強い役が似合う」という評価を受けることも増えた岡田だが、「実は今、それが僕の中で課題になっていて。本作の孔もそうですが、等身大の役を演じることは僕にとって一番難しくて、怖いことでもあって。等身大の役を演じられる人は、本当にすごいなと思うんです」と吐露。 「『虎に翼』の航一は、僕も『クセが強い』と感想をいただいているのを見かけたりしましたが、僕としては航一にはクセがなく、真っ向から戦っているつもりです。面倒臭い人間に見えても、そこにはいろいろな理由がある。“クセが強い役”というだけで終わるのではなく、もっと知りたくなるような人物像を作っていかなければいけないなと思っています。そういった意味でも、ものすごく挑戦的な役だなと。これまでできていなかったことに真剣に向き合って、やり遂げようとしている感覚がある。逃げずに新しい表現に挑戦していることが、40代につながっていけばいいなと思っています」と未来を見つめる。 そして「『ラストマイル』という大作に呼んでいただけたことも、僕にとってはまるでご褒美のよう。今後への力になります」と目尻を下げた岡田。穏やかな笑顔を絶やさず、それでいて役者としてのやりがいと覚悟がみなぎる彼の姿に、こちらまで心が奮い立つような気持ちがした。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美) 映画『ラストマイル』は、8月23日全国公開。